教養・歴史歴史書の棚

歴史書の棚 多角的な日米安保体制へ 是正と新たな構築問う=井上寿一

 戦後長らく左右両翼、リベラルと保守の両政治勢力から政府の「対米従属」姿勢が批判され続けた。今もそうである。石原慎太郎『日本よ、完全自立を』(文春新書、850円)は、保守の側からの代表的な「対米従属」批判論だろう。同書はアメリカから武器を購入するよりも、日本製の武器を開発・装備することの重要性を強調する。自主防衛論の立場からすれば当然だろう。

 他方で戦後の日本国民は、このような「対米従属」批判にもかかわらず、原理的には矛盾するはずの平和憲法と日米安保条約を受容し続けて今日に至っている。なぜ平和憲法と日米安保条約に基づく戦後体制は続いているのか。吉次公介『日米安保体制史』(岩波新書、860円)が考える手がかりを与えてくれる。

残り569文字(全文884文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事