教養・歴史書評

読書日記 あるものをあるがままに 記録こそ抵抗たりうる=ブレイディみかこ

『ドライブイン探訪』
『ドライブイン探訪』

×月×日

「ドライブイン」と言ってもいまの若い人たちはきっと知らない。その絶滅寸前のロードサイドの飲食店を経営し、何十年も客を受け入れてきた人々の話を丹念に聞いて、戦後の歴史を浮かび上がらせるという書籍は、企画だけでもうワクワクする。おかげで橋本倫史著『ドライブイン探訪』(筑摩書房、1700円)は、久しぶりに時間を忘れて読みふけった本になった。

 いまは巨大なサービスエリアやファミリーレストランにその役割を取って代わられたが、わたしが子どもだった1970年代はドライブイン隆盛の時代だった。「ドライブインが輝いていたのはアメリカが遠かった時代」「アメリカが近づくにつれ、その輝きは失われた」と本書には書かれている。

残り989文字(全文1296文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事