経済・企業深層真相

PayPay、楽天ペイ、メルペイ……乱立するQRコード決済の統一事業が迷走しているワケ

QRコード決済で弁当を購入する女性。JPQRは乱立するサービスの切り札となるか=東京・霞が関の中央合同庁舎2号館で2020年6月18日午前11時7分、後藤豪撮影
QRコード決済で弁当を購入する女性。JPQRは乱立するサービスの切り札となるか=東京・霞が関の中央合同庁舎2号館で2020年6月18日午前11時7分、後藤豪撮影

 今年4月に全国で始まった総務省の統一QRコード事業、「JPQR」が迷走している。JPQRは、スマホアプリを使ったバーコード型決済サービスが乱立する状況下で、共通のQRコードを使うことで仕様をまとめるという試みだ。ペイペイや楽天ペイ、メルペイなど多くの事業者が参加しており、利用者と小売店ともに利便性があるとしている。

 しかし、表向きには一つのQRコードで統一されているものの、裏側の契約はそれぞれの決済事業者と個別に交わす必要がある。また、管理画面こそ一覧できるが、売上口座や出金タイミングも事業者ごとに変わり、統一されていない。

 先行導入した小売店は、「最初の申し込みこそ、地元の銀行が一括の窓口になってくれたが、その後のフォローは一切ない」と嘆く。契約事業者が多いために売り上げが分散し、事業者ごとの最低出金額の制限にかかってしまい、現金化が難しい場合もあるという。

 また、ユーザーの囲い込みが難しくなるからか、参加事業者側の足並みもそろっていない。 特にペイペイはJPQR経由で利用した場合、他社と比較しても高い3・24%の手数料を設定する一方、個別契約を結んだ場合は来年9月まで無料、条件によっては以降も低い手数料を提示しているという。

 横並びによる競争、窓口共通化による利便性向上の目的は早くも崩れ去っている。

(本誌初出 裏側の仕組みはバラバラ 迷走する統一QR事業 20200728)

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