経済・企業

《地銀&メガ》「スルガの不正は底なし」消えない被害者の“怒り”=今沢真

スルガ銀行

 シェアハウス不正融資問題で前代未聞の借金帳消しに応じたスルガ銀行。しかし、なお新たな火種を抱えている。

新たな「被害者同盟」結成で

再建への出発点に立てないまま=今沢真

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる地銀・スルガ銀行の不正融資事件を覚えているだろうか。2018年、「かぼちゃの馬車」を投資家に販売したり、入居者をあっせんしたりしていた不動産会社が経営破綻し、シェアハウスを購入した投資家が、巨額の借金を返せなくなった。彼らにはスルガ銀行が、預金通帳や源泉徴収票の偽造により過剰融資をしたことがわかり、金融庁から業務停止命令を受けた。それから約4年。現状を報告する。

 購入者は同年「被害者同盟」を結成。河合弘之、山口広両弁護士率いる総勢50人の「被害弁護団」と共に、スルガ銀行に「借金帳消し」を迫った。銀行側は当初「購入者も不正を知っていたはず。銀行はむしろ被害者だ」と拒絶。だが、第三者委員会の調査で行員が多数の不正に関わったことが判明した。

前代未聞の借金帳消し

 被害者同盟は、河合氏の発案で東京・日本橋の東京本部の前で繰り返し街頭デモを行い、「銀行は不正融資を認めろー!」と大声を張り上げた。19年には、メンバー自らがスルガ銀行の株式を買って株主総会に出席し、株主質問や動議で「救済」を経営陣に迫った。

 なりふり構わぬ抗議活動に銀行側も白旗を揚げた。20年、購入者が物件を「代物弁済」し、借金を帳消しにする和解案を銀行がのむ。解決策で生じる損失は銀行がかぶり、「貸手責任」を全面的に認めた前例のない決着だった。

 和解した購入者は257人だったが、ニュースを知った他の購入者が「自分も…

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週刊エコノミスト

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