現実味帯びる「強硬離脱」 英・EUの埋まらない溝=石野なつみ
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英国のEU(欧州連合)離脱を巡り、英国とEUの交渉が頓挫しかかっている。交渉期限となる来年3月29日を前に、今年10月に予定されるEU首脳会議での政治合意を目指していたが、現在の状況では不可能との見方が濃厚だ。合意の目標が11月にずれ込んだとしても、残された時間は限られている。2016年6月の国民投票で英国のEU離脱方針が決定してからすでに2年以上が経過したが、合意のないまま離脱に至るハード・ブレグジット(強硬離脱)が現実味を帯びている。
交渉が行き詰まっているのは、メイ英首相が今年7月、ロンドン北西部の首相公式別邸「チェッカーズ」で閣僚に示した離脱案(通称「チェッカーズ案」)に対し、EU側が受け入れを拒否し続けているからだ。チェッカーズ案は、モノにのみEUの共通ルールを適用し、EU域外から英国経由で他のEU27カ国に届けられるモノの関税は英国が徴収することが柱となっており、メイ首相はこの案にこだわり続けている。
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週刊エコノミスト
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