予想実質金利が示す円高進行 消費増税と対米輸出規制が拍車=内田稔
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ドル・円相場の先行きを展望する際に重宝される尺度が日米金利差だ。しかし、過去5年間については、残念ながら羅針盤として機能してきたとは言えない。
実際、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切った2015年12月に1ドル=121円台で推移していたドル・円は、8回もの利上げが行われた現在の方が大幅にドル安・円高だ。金利差が機能しにくい一因は、絶対的な金利差が乏しいためだろう。例えば、昨年末の日米金利差(リターン)が約2.5%(3カ月物、年率換算)であったのに対し、ボラティリティー(変動率)は約8.5%だ。
これは、期待リターンが2.5%であるのに対し、約68%の確率で為替相場が上下に8.5%振れる可能性を示唆している。為替相場が逆に動けば、金利差など一瞬にして吹き飛んでしまう。これに対し、資金を低金利の円で調達し、高金利の外貨で運用して利ざやを稼ぐ「円キャリートレード」が活発であった金融危機前は、ボラティリティーが今と大差ない一方、金利差は4%台後半で推移していた。
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週刊エコノミスト
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