ルポ廃虚マンション(滋賀県野洲市)危険すぎる管理不全の「末路」=加藤結花
有料記事
県道に面した建物の壁は崩れ落ち、むき出しの状態の部屋は外から丸見え。汚れきった布団やボロボロの家具などが入り乱れている。周囲には工場や住宅が建ち並ぶが、その一角で明らかに異様な雰囲気を漂わせていた。琵琶湖の南東部に広がる滋賀県野洲市の区分所有マンション「美和コーポ」。すでに無人となっている鉄骨3階建て(9戸)の建物を5月下旬に訪ねると、文字通り「廃虚」と化していた。
1階のドアには「危険」の張り紙があり、3階の廊下の柵は崩落している。注意深く建物の裏手に回ると、鉄製の階段はさび付いていた。どのくらいの年月がたったのか、緑のつたが建物の壁面の一部を3階まで覆い尽くす。風が吹くと、家具やがれきが積み上がった建物内部に吹き込み、「ギギギ」という不気味な音を立てた。周囲には立ち入り禁止を知らせるコーンが置かれ、いつ何が落ちてくるか分からず身の危険を感じる。
残り1818文字(全文2198文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める