週刊エコノミスト Online書評

『日本の異国 在日外国人の知られざる日常』 評者・高橋克秀

    著者 室橋裕和(アジア専門ライター) 晶文社 1800円

    集団でなく個人の姿を活写 歪んだ移民政策も浮き彫りに

     近年、在日外国人コミュニティーの研究が活発になり、優れた研究書も著されている。しかし、研究の対象は集団としてのエスニック・グループである。そこでは個人は抽象化され、人格のないデータとして扱われることが多い。ところが、一人一人の外国人が祖国を離れ、日本に定住し、なんとか生きていくまでには数知れない苦難とドラマがある。著者の室橋氏は、一人一人の等身大の物語を掘り起こした。そこから浮かび上がるのは、日常を懸命に生きる外国人の姿と日本政府の不条理な移民・難民政策である。

     外国人コミュニティーの代表格といえば西葛西(東京都江戸川区)の「リトル・インディア」であろう。4000人を超えるインド人が江戸川区に住んでいる。西葛西にインド人が増え始めたのは「コンピューター2000年問題」への対応で大量のIT技術者が必要になった1990年代末である。しかし、その種をまいたのは、70年代にコルカタから来日した一人の貿易商であった。紅茶の輸入で成功した面倒見の良いジャグモハン・チ…

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