活用が進む電子ペーパー 紙の用途を置き換えへ=津村明宏/33
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液晶や有機ELといった平面表示装置の一つに、電子ペーパーディスプレー(Electronic Paper Display=EPD)がある。EPDは、読んで字のごとく、紙に似た表示品質を実現できる平面ディスプレーだ。高精細な色表現や高速の動画表示は苦手だが、白地に黒の文字や絵を表示するため視認性が高く、太陽光直下のような明るい場所でも鮮明に文字を判読できる。加えて、液晶や有機ELに比べて、消費電力が極めて小さい。こうした特性を生かし、主に米アマゾンの「Kindle」や楽天傘下の「Kobo」に代表される電子書籍端末に搭載されている。
現在使われているEPDは、マイクロカプセル型電気泳動と呼ばれる方式で文字や絵を表示する。帯電した黒と白の粒子および溶媒を入れたマイクロカプセルをプラスとマイナスの透明電極で挟み込んだ構造になっている。これに電気を流すと、白または黒の粒子が電極に吸い寄せられるため、白と黒の表示が切り替わる仕組みだ(図)。最近では、いったん文字や絵を表示させると、次に電気を流すまで表示を維持できる、極めて省エネなE…
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週刊エコノミスト
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