米国が強大国化を“お膳立て” 習体制にくすぶる不穏の数々=興梠一郎
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米国は今、「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、超大国への道を突き進む中国の影におびえているが、そのお膳立てをしたのは、米国自身である。米中接近を演出したニクソン大統領(在任1969年1月〜74年8月)は晩年、「我々はフランケンシュタインを作り出したのかもしれない」と後悔したという。
中国は2001年、米国の後押しもあり、念願のWTO(世界貿易機関)加盟を果たし、国際貿易システムに組み込まれ、世界第2の経済大国にのし上がった。米国は当時、中国をWTOに入れれば、韓国や台湾のように民主化すると楽観していたが、その見通しは甘かったと気付いた。中国は、米国を脅かす強大な一党独裁国家に変貌したのである。
中国は世界最大の市場を武器にして、外資を呼び込み、「世界の工場」となり、巨大なサプライチェーンを築き上げた。いまや米軍の武器でさえも、中国産のレアアースや電子部品に頼っている恐れがあるとして、米国防総省が警鐘を鳴らしている。
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週刊エコノミスト
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