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国際・政治 さらばEU

「離脱後」に何が起きる? シナリオ1 移行期間延長せず、英経済へ逆風強まる=伊藤さゆり

通関手続きが復活するか(英ドーバー港)(Bloomberg)
通関手続きが復活するか(英ドーバー港)(Bloomberg)

 英国のEU離脱が実感されるのは現状を維持する「移行期間」の終了時期、実感の度合いは、英国とEUの新たな関係の基礎となる協定の有無、内容次第だ。

 移行期間終了のタイミングについては、2020年末の期限が延長されるとの期待は根強い。新協定の協議と批准手続きには、離脱協定以上の時間が必要と見られている。1月8日にジョンソン英首相と会談したフォンデアライエン欧州委員長も「移行期間を延長しなければ、新たな関係のすべての側面で合意することは不可能」と述べている。「協定なき移行期間終了」という事実上の「合意なき離脱」の回避のために、英国政府が期限延長しない方針を転換すると考えられているわけだ。

 しかし、筆者は、二つの理由から、延長はないと考えている。第一の理由は英国にとっての政治的な困難さだ。移行期間を延長すれば、EU法を受け入れ、欧州司法裁判所の管轄下に置かれる状態が続く。米国などとの通商協定も発効できない。EU予算への拠出も求められる。移行期間の延長判断の期限の6月末までに、ジョンソン首相がEUに従属する関係継続にかじを切ることは考え難い。

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