国際・政治さらばEU

「離脱後」に何が起きる? シナリオ2 新協定間に合わず、移行期間1年延長=吉田健一郎

通関手続きが復活するか(英ドーバー港)(Bloomberg)
通関手続きが復活するか(英ドーバー港)(Bloomberg)

 2016年6月の国民投票から3年半、ブレグジットは一つの節目を迎えた。今度は英・EUの新たな関係性を定めた新協定の締結に向けた交渉が始まる。

 新協定は、「自由貿易協定(FTA)を核とした、刑事司法、外交や治安、国防などを含む貿易と経済協力に関する野心的、広範、柔軟なパートナーシップ」とされる。カナダ・EU間で17年9月に暫定発効した包括的経済貿易協定(CETA)がモデルになるとされるが、実際はそれよりもかなり幅広い協定が目指されており、「カナダ・プラス」などと呼ばれる。

 新協定の野心的な目標と裏腹に、交渉に用意された時間はあまりに短い。離脱後に英・EUは、新協定を協議するための移行期間に入るが、移行期間は20年12月末までの約11カ月しかない。CETAは、09年5月の交渉開始から17年9月の暫定発効まで約8年かかった。19年2月に発効した日・EU経済連携協定(EPA)でも、交渉開始から発効まで約6年かかった。離脱協定上、移行期間は1年または2年の延期が一度だけ可…

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週刊エコノミスト

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