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教養・歴史 闘論席

片山杜秀の闘論席

撮影 幾島健太郎
撮影 幾島健太郎

 サボる。フランス語のサボタージュが語源だ。怠ける意味だが、そこから労働運動の用語に転じた。不当と思える給与や労働時間や仕事量の改善を求めるとき、わざとサボる。つまり怠業である。そこからさらに進み、一切働かないのは罷業(ひぎょう)。ストライキのことだ。

 労働者が連帯して一斉にやるサボタージュやストライキほど怖いものはない。経済が止まり、社会が崩壊する。資本主義の歴史はその恐怖との戦いであった。そこでの基本的な策は、第一に、労働者の生活水準を高め、不満を抱かせないこと。第二に、雇用形態を正社員や契約社員、アルバイトなどに細かく分け、労働者間の連帯を弱めること。豊かな国々の共通の戦略だった。

 だが、その戦略がかなり綻(ほころ)んできたタイミングで、最後の鉄ついを下すかのごとく、世界を疫病が襲ってきた。人同士の生身の接触を減らす以外、今のところ、有効な手立てがない。引き籠もれる者から引き籠もれ。世界の国々の対応の基本だろう。

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