教養・歴史闘論席

片山杜秀の闘論席

    撮影 幾島健太郎
    撮影 幾島健太郎

     サボる。フランス語のサボタージュが語源だ。怠ける意味だが、そこから労働運動の用語に転じた。不当と思える給与や労働時間や仕事量の改善を求めるとき、わざとサボる。つまり怠業である。そこからさらに進み、一切働かないのは罷業(ひぎょう)。ストライキのことだ。

     労働者が連帯して一斉にやるサボタージュやストライキほど怖いものはない。経済が止まり、社会が崩壊する。資本主義の歴史はその恐怖との戦いであった。そこでの基本的な策は、第一に、労働者の生活水準を高め、不満を抱かせないこと。第二に、雇用形態を正社員や契約社員、アルバイトなどに細かく分け、労働者間の連帯を弱めること。豊かな国々の共通の戦略だった。

     だが、その戦略がかなり綻(ほころ)んできたタイミングで、最後の鉄ついを下すかのごとく、世界を疫病が襲ってきた。人同士の生身の接触を減らす以外、今のところ、有効な手立てがない。引き籠もれる者から引き籠もれ。世界の国々の対応の基本だろう。

    残り415文字(全文830文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    6月22日号

    EVと再エネ 儲かる金属14 日米欧中の電池大争奪戦 政府と企業の胆力が試される ■金山 隆一18 レアアースのネオジム 双日が豪ライナスに出資 ■小田切 尚登/編集部19 ネオジム磁石 大同特殊鋼とホンダが独自開発 ■編集部20 株価急騰 EVで注目の海外企業はこの5社 ■編集部21 銅 「新しい [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事