米大統領が対中制裁 年初の融和一転、強硬に 民主候補の批判にも利用=前嶋和弘
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トランプ米大統領の対中姿勢が先鋭化している。香港への優遇措置の取り消し、「安全保障上の脅威」とみなした中国からの留学生・研究者の入国停止を矢継ぎ早に打ち出した。新型コロナウイルスへの対応で「中国寄り」だと批判してきた世界保健機関(WHO)からの脱退も表明。今年1月には対中貿易交渉で、関税引き下げなどを盛り込んだ第1段階の合意に達し、融和ムードが漂った。しかし、コロナ禍により対中貿易は伸びず、10万人超の死者を出した政権対応が批判され、経済も失速。対中融和と経済成長のシナリオが崩れたトランプ氏が、11月の大統領選に向けて、対中強硬策を続ける可能性が高い。
制裁措置は、中国が香港での反中活動を禁じる「国家安全法制」を新設したことが発端となった。トランプ氏は、米国が、西洋的な価値観を守る「世界の警察」から降りる姿勢を鮮明にしてきた。香港の自由な社会を守ることを名目に対中制裁を課すことは一見筋が通っていない。トランプ氏が人権問題をどこまで真剣に考えているのかはともかく、貿易交渉で対中輸出を増やす糸口をつかむために、香港問題を理由に制裁を課した構図だ。香…
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週刊エコノミスト
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