市場に問われる開示姿勢=井出真吾
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5月に上場企業の決算発表がピークを迎えた。これまでに集計した1080社のうち、今年度の業績予想を「未定」としたのは56%に上った。自動車だけとってもトヨタ自動車が「8割減」としたのに対し、ホンダは「未定」とするなど対応が分かれた。
際だったのは、ベアリング大手のミネベアミツミだ。21年3月期の純利益を15.2%減〜2.2%増と幅を持たせて開示した。20年3月期も23.6%減益であり、2期連続の2桁減益の可能性を示唆したことになる。にもかかわらず、発表翌日の株価は前日比で10%を超える急伸となった。投資家の間では逆に、これ以上は悪くならないという安心材料となったのだろう。「今期マイナス15%なら、来期はプラスに転じるだろう」と先を読むこともできる。
業務用ソフトウエアのオービックビジネスコンサルタントは、純利益が8%ほどの減益になりそうだと発表した。それでも株価は翌日急上昇した。厳しい中でも投資家に何かしら手がかりを提供しようとする姿勢が評価された。
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週刊エコノミスト
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