マーケット・金融

米国「バリュー株」「グロース株」コロナ後の今本当に買うべきなのはどちらか=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家)

    東京都中央区で2020年6月12日午前9時13分、梅村直承撮影
    東京都中央区で2020年6月12日午前9時13分、梅村直承撮影

    バリュー株とグロース株の違い

    バリュー株とは本来の価値から見て割安な株式のことを指します。

    株価割安判断のモノサシとして、代表的なものとしてはPER、PBRがありますが、一般的にはそれらを利用して、株価が企業価値を下回っていると考えられる株式を購入する投資手法をバリュー株投資といいます。

    PER(株価収益率)は株価が1株当たり利益の何倍かを示すものです。A社の株価が1株利益の5倍、B社が1株利益の20倍なら、A社が割安というわけです。

    PBR(株価純資産倍率)は企業の解散価値を示し、これが1倍を割れば割安というのが教科書理論です。

    バリュー株の反対語はグロース(成長)株で、グロース株投資は、企業の成長性や将来性に着目し、業績の伸びが期待できる銘柄に投資することです。

    指標はあくまで評価の参考程度に

    最近では必ずしもPERやPBRが低い企業の株価が上昇しているわけではありませんので、あくまでも評価の物差しとして見る方が適切です。

    例えば、今から17年前に設立され、現在では時価総額が世界第1位の自動車会社テスラの当期利益は恒常的に赤字ですからPERは計算不能、PBRは何と20.2倍、ROEはマイナス2.1%、ROAはマイナス0.4%です。それでも株価が史上最高値を更新しているのは天才イーロン・マスク個人の能力とテスラ社の将来に対する期待値が株価に反映させていることを示唆しています。

    因みに、バリュー株で有名な銘柄はウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ社です。1996年以来、バークシャー・ハサウェイ社はS&P500指数を大幅にアウトパフォームしてきました。同期間の上昇率はバークシャーが786%、S&P500指数が279%でした。

    超低金利時代に有利なグロース株

    バリュー株は(超)長期的には優れた投資対象と認識されていますが、過去10年間の成績はグロース株の方が好調でした。何故なら、恒常的な低金利傾向により、グロース株企業は低コストで借り入れを行い、売上高の伸びを加速化させることが可能となっているからです。

    そしてグロース株の好調は暫く続くことになりそうな気配です。

    その理由は、

    ①FRB(米連邦準備制度理事会)は2022年までは、金利を低水準に維持する見込みであること、

    ②グロース株の中でも大型株でもある企業には、体力があること

    (体力があるメリットは(1) 魅力的なテクノロジーなどの無形資産を有する企業が出没したとしても、法外な値段でそれを買収し、自社グループの資産として取り込める、(2)新型コロナショックのようなネガテイブな経済的影響を吸収できる )

    です。

    ですからグロース株の方がこれから乗数的に変化する時代への対応力を持てると言えます。

    そして、大型グロース株の中でも(1)ストック型ビジネス、(2) 定性的メリットとしてブランドを構築出来ているかなど他にいくつもの銘柄選定する上で注意すべき事項がありますので、それらを考慮した上で、より成功の確率が高い銘柄選定を行うべきなのです。

    ビジネスモデルのパラダイムシフトが与える影響

    ところで、バリュー株のパフォーマンスが昨今、芳しくないのは何故でしょうか?

    新型コロナショックの影響でビジネスモデルのパラダイムシフトが起きているのでは?そしてバリュー株はその時代の変化に対応できないのでは?という思惑が投資家の中に充満していて、投資家が積極的にバリュー株投資に向けないのがバリュー株の値動きにエネルギーが今ひとつな理由です。恐らく、将来への不安感が払拭されるまでは、安心してバリュー株に投資し難いのでしょう。

    とは言え、(超)長期的に投資するスタンスの場合、今後の世界がこれまでの時代の流れの線上に乗っていると想定するのであれば、安価なうちにバリュー株を仕込んでおくのも一つの戦略だと思います。

    これまでの投資ルールでは、GAAFAのような既に猫も杓子も投資しているような銘柄に飛びついて投資すると火傷するリスクがありました。私はアマノジャクですから、通常はそういう投資を選好しません。然し乍ら、恐らく数年前のビットコインブームとは異なり、現在の大型グロース株には安心感と将来への期待感が共存しているかのようにも見受けられます。

    従いまして、資金的に余裕がありましたら、バリュー株およびグロース株の銘柄選定をしっかりと行い、2:8なのか3:7なのか4:6なのかなどなど、自分にとって快適な比率でそれぞれを投資する戦略を立てることが出来ます。

    資金的に余裕が無いのでしたら、株価が年内に感染第二波により下値への調整すると想定した場合、グロース株の有望銘柄を安値圏で購入する戦略を取れます。

    株価に一喜一憂せず「時間という資産」を活かす

    (超)長期投資を目指しているのでしたら、もし下値への調整がなかった場合でも、それが分かった時点で株式を購入すれば良いのです。たとえ株価が目標購入価格より割安で購入できなかったとしても構わないのです。何故なら、(超)長期投資では保有株式価格が購入価格の数倍になることを狙っているからです。勿論、株式を安く購入するに越したことはありません。しかし、当たり前ですが、私達は神様ではないですから、将来の株価を予測し必ず的中させることは出来ません。ですから、その株式を安価で購入するかではなく、その株式を確実に保有することが最重要なのです。

    自分が将来にわたって右肩上がりの価格形状をすると自信を持って銘柄選定し、購入した株式は、ウォーレン・バフェット氏のように長期間保有することで、時間価値を利用した成功確率の高い投資商品となるのです。

    立沢賢一(たつざわ・けんいち)

    元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

    Youtube https://www.youtube.com/channel/UCgflC7hIggSJnEZH4FMTxGQ/

    投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

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