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カネ、カネ、カネ……「電通のための東京五輪」は中止だ!=牧太郎【サンデー毎日】
7月5日投開票の都知事選。「東京五輪開催」が争点になっているが、当方〝新型コロナ騒動〞が起こる前から東京五輪に反対だった。
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カネ、カネ、カネ……の五輪商業主義が気に入らないからだ。
1984年のロサンゼルス開催の頃から、五輪は「完全民営化」という謳うたい文句の下で「商業主義の奴隷」になってしまった。
この大会、テレビ放映権料とスポンサー企業からの巨額な協賛金が大会総収入の55%(入場料収入はたった18%)。2億㌦を上回る黒字が出て、60%が米国オリンピック委員会に分配された。
五輪は儲かる! プロ選手の参加が認められ、企業スポンサーが解禁。選手は大企業の広告塔になった。
五輪は巨額の富を生む! そこで、各地で激しい招致合戦。日本もマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)などと戦い、安倍晋三首相が「福島の状況はコントロールされている」と噓をついて誘致を勝ち取った。
でも、大会の運営は巨額の資金を提供する米国テレビネットワークの言いなり。サッカーの欧州チャンピオンズリーグや米プロフットボールリーグの開催時期を避けるため、ネットワークは「夏の五輪」を主張し、東京は開催時期を猛暑の7〜8月にするしかなかった。
世界中、新型コロナが爆発的な広がりを見せている。というのに〝五輪商業主義者〞は来年7月の開催!を主張している。
でも、これは無理だろう。 ワクチン開発が間に合うのか?経済がボロボロになった国が選手を送るだろうか?
東京五輪自体が感染者を増やす危険もある。
一日も早く「中止」を決めるべきだ。
だというのに、都知事選でハッキリ「中止」を主張する向きは少数派? 小池現知事は強行派だ。
なぜだろう? 日本一の広告代理店「電通」の存在を無視できないのだ。
事前イベント、スポンサー集め、民放各局の調整……さまざまの権限を独り占めしている。
スポットCMで莫ばく大だいな利益を上げる目算だった。
大きな声では言えないが、誘致のためのロビー工作でも「重要な役割」を果たした!と関係者は自慢する。
東京五輪は「電通の、電通による、電通のための五輪」ではあるまいか? そんな気がする。
この際「電通」には泣いてもらいたい。知事選が終われば(誰が新知事になっても)多分「中止」を宣言するだろう。
2024年五輪の開催国フランスもコロナ不況の資金難に苦しんでいる。「24年日仏合同開催」という選択もあるんだから。
(本誌初出 2020/7/5)
まき・たろう 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある