顔認証、FA、半導体…… コロナ下でも伸びている製造業銘柄35=阿部哲太郎
コロナ禍を受け、自動ドアや非接触のタッチパネルなどを実現するために、高性能なセンサーの需要が増加するだろう。一例としてソニーの画像イメージセンサーは、現状で世界一のシェアを誇る。人間で言うと網膜に相当するイメージセンサーはまさに機械の目として、スマホや自動運転、ロボットなどあらゆる分野で活用が進む。
NECは強みの顔認証技術を生かし、ドアの開錠やショッピングの決済などのさまざまな場面で非接触を実現する。今年の5月には、認証技術のベンチマークテストで世界一となった、顔認証技術と虹彩認証技術を組み込む「マルチモーダル生体認証端末」の開発も発表している。
FA関連は明暗
医療や学習、製造現場で、非対面化も急速に進むだろう。中でも株価がいち早く反応しているのはFA(ファクトリーオートメーション)関連の銘柄だ。
自動化に不可欠な高性能センサーや制御機器を手掛けるキーエンスの株価は、3月の安値からの戻り相場で異様な強さを見せ、6月に入っても上場来高値の更新が続いている。コロナ禍からいち早く回復を見せた中国が、工場などの自動化投資を加速させており、物流機器大手のダイフクや空気圧機器大手のSMCなども同様に高値更新が続いている。
一方、回復が遅れている自動車業界向けの売上比率が高いファナックなどの株価は出遅れており、FA関連銘柄の中でも明暗が分かれている。
ロボットの活用も、これまで以上に加速するだろう。
川崎重工業と検体検査機器を手掛けるシスメックスの合弁会社であるメディカロイドは、コロナ向けのPCR検査を自動で行うロボットを発表した。
加えてメディカロイドは手術支援ロボットの開発も進めており、遠隔医療などの分野でも注目となりそうだ。
立体パッケージに需要
直近で業績の強さを見せているのが、ICパッケージなどを手掛けるイビデンと新光電気工業だ。両社とも次世代のサーバー向けとなる、三次元積層の立体パッケージ基板の需要が伸び、イビデンは今期4割の営業増益、新光電工は営業益3倍と大幅増益の見通しが好感され、株価は高値更新が続いている。
また、デジタル経済では省エネがポイントとなり、低消費電力やデバイスの小型化に寄与するパワー半導体の需要も増加している。中でもパワー半導体やLEDなどの化合物半導体の製造装置に強みをもつサムコが注目の筆頭だろう。
(阿部哲太郎、QUICK Market Eyesコメントチーム)
(本誌初出 伸びる銘柄 ハードウエア編〈35銘柄〉 顔認証、FA、半導体に恩恵=阿部哲太郎 20200714)