舞台 俳優座「心の嘘」 対話不全に陥った家族劇 サム・シェパード作、本邦初演=濱田元子
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劇作家サム・シェパード(1943~2017年)といえば、映画俳優としての方がよく知られているかもしれない。「8月の家族たち」など多くに出演し、83年の「ライトスタッフ」では米アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
劇作家としてのシェパードは、現代アメリカ演劇を語るうえで欠かせない存在だ。ベトナム戦争や黒人暴動などで米社会が揺れた60年代、反体制文化の旗手として勃興期のオフ・オフ・ブロードウェーで活躍した。
そのシェパードが70年代後半から手掛けたのが、「飢えた階級の呪い(原題:Curse of the Starving Class)」に始まる一連の家族劇。国家や体制、文明を父親を中心とする家族に仮託し、崩壊と喪失から蘇生への葛藤を描き出した。78年の「埋められた子供(Buried Child)」はピュリツァー賞を受けた。
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