経済・企業AI図解 日本の未来

温暖化が進むと感染症リスクが増大?気温が上がると打撃を受ける企業をAIが分析

国会議事堂前に靴やプラカードを並べて地球温暖化対策強化を訴える「シューズアクション」=東京都千代田区で2020年9月25日、宮武祐希撮影
国会議事堂前に靴やプラカードを並べて地球温暖化対策強化を訴える「シューズアクション」=東京都千代田区で2020年9月25日、宮武祐希撮影

地球温暖化の政府間組織であるIPCCによれば、現在の経済活動が続いた場合、早ければ2030年に1・5度、今世紀末には4度程度の気温の上昇が見込まれている。

パリ協定の目標値である平均気温「2度上昇」に抑えた場合と、このまま「4度上昇」となった場合とで、それぞれが日本の上場企業に与える影響を、AI(人工知能)を使った経済予測システム「ゼノブレイン」で分析した。

いずれの場合も、農作物と関連する企業に影響が及ぶという結果が出た。ただし、温度と農作物の種類で波及経路は異なった。

例えば、小麦やトウモロコシは、2度上昇しただけでも生育期間が短縮する。

そのため生産量も減り、食品加工会社やお菓子メーカー、製パン業者にとって逆風となる。

一方、米や大豆は、2度上昇と4度上昇で影響の出方が違う。

農業環境技術研究所(NIAES)によれば、米は2度までの上昇では生産量が増加するとの予測を発表している。

しかし、3度を超えると減少傾向になり、品質も低下するという。

そのため、2度上昇の場合は米価格の下落から、レストランチェーン店などが恩恵を受けるが、4度上昇では一転してマイナス影響となる。

また、4度上昇となると影響は農作物にとどまらない。

感染症の媒介動物の生息域拡大、洪水の発生から、エボラ出血熱やコレラ、サルモネラなどの感染症リスクが上昇すると見込まれる。

さまざまな場所で人・物と接する物流関係の企業にはマイナスの影響が出る一方、医療機器の需要増加で製造メーカーや販売会社にはプラスの影響が出る結果となった。

(ゼノデータ・ラボ)

(本誌初出 第6回 温暖化、2度上昇で食品、4度で物流に打撃=ゼノデータ・ラボ 20201208)

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