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週刊エコノミスト Online 学者が斬る・視点争点

小規模金融 効果乏しく=高野久紀

 

制度設計が貧困削減阻む

 開発経済学の古くからの議論に、「貧困の悪循環」がある。所得が低いために投資ができず、所得が低いままになってしまう、というように、貧困が貧困の原因となることを示す概念である。このような悪循環があるなら、低所得者でも投資ができるよう融資を提供することで、「高投資」が達成され、「高投資→高所得→高投資→高所得→……」という好循環へと転換できるはずである。

 従来、低所得者は返済確率の低いリスキーな借り手とみなされ、金融機関の融資対象とはされてこなかった。しかし、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行は、低所得者(主に女性)を対象に無担保で少額の融資を提供し、98%を超える返済率を維持しながら事業を拡大してきたことから注目を集め、多くの機関が同様のプログラムを世界中で実施するようになった。このように、貧困層を対象に少額融資を…

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