イスラエル「テルアビブ」平和願う落書きと空爆の落差
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イスラエル編(3)
蜃気楼(しんきろう)のように美しく、どこか生活感に乏しかったイスラエル北部の町・ハイファから、夕方の列車で1時間。テルアビブまで戻ってきた筆者は、市中心部に近いハ・シャローム駅で下車した。駅名標は、ヘブライ語だけで書かれている。
公共機関の表示はヘブライ語のみ
イスラエルは誰にでも英語の通じる国で、しかも国内にはアラブ人(パレスチナ人)も多く住む。だから民間施設の看板には普通に英語表記もあるのだが、公的機関の表示はヘブライ語のみだ。長らく話し手のない文章語だったが、19世紀末に口語として復興された。「万葉時代の古文法を、現代の会話に再び使い出す」というような話だったとも思える。
イスラエル国民800万人の2割強はアラブ人で、それ以外にパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区から通勤通学してくる人も多い。彼らはヘブライ語も話すというが、それにしてもアラビア語をまったく無視するという姿勢は、いかがなものか。
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週刊エコノミスト
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