聖地ベツレヘム「パレスチナ自治区」の素顔
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イスラエル編(5)
2019年5月初旬の昼過ぎ、聖都エルサレムの旧市街を囲む、城壁の前に立った筆者。振り向いた後ろには、近郊行きのバスの発着所があった。時間のかかりそうなことを先に済ますという趣旨で、旧市街探検より先に、南に10キロほど離れたベツレヘムの町にバスで往復することとする。
パレスチナ自治区にバスで入る
ベツレヘムを経由してその先に向かう231系統のバスは、立派な大型車だった。料金は日本円で230円ほど。現金払いだったので、近くの両替所で手持ちの米ドルをイスラエルの通貨のシェケルに換える。午後0時50分に出発し、ベツレヘムの停留所に着いたのは1時40分過ぎだった。わずか10キロにずいぶん時間がかかったものだ。
バスに乗って、イスラエルからパレスチナ自治区へと入ったことになるのだが、行きにパスポートチェックはなかった。道は起伏する丘に木がまばらに生えている間を縫って進んだが、そこら中に真新しい家の密集する新興住宅地のようなものがあった。いわゆる「ユダヤ人入植地」だろうが、エルサレム近郊のこの辺りでは農業をしに入植しているはずもなく、要するにユダヤ人向けのベッドタウンを新設しているのだろう。
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週刊エコノミスト
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