経済・企業バブル前夜 金利上昇の恐怖

バフェットが日本株買い増し 成長株から割安株へシフト=編集部

     <金利上昇の恐怖>

    バフェット氏 (Bloomberg)
    バフェット氏 (Bloomberg)

    「バフェットが円資金の調達に動く。日本株の買い増しか」──。4月5日、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが円建て社債の発行準備に入ったという情報が伝わると、市場はにわかに色めきだった。(バブル前夜)

     バークシャーは昨年8月、伊藤忠商事や三菱商事など日本の5大商社株に投資したことを明らかにした。バリュー(割安)株投資で知られるバフェット氏の再登場に「外国人の日本株買いが入る」と、市場は活気づいた。「バフェット氏の動きからも、外国人が日本市場に興味を持ち始めた可能性がある」(りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジスト)。

    米国は7・4%成長

     商社株を買い増すとの思惑から三井物産や丸紅といった5大商社株が上昇。割安株の代表格である銀行株や通信株も買われる一幕もあった。5日、日経平均株価は先週末より235円高い3万89円と大台を回復。ダウ工業株30種平均も3万3527ドルの史上最高値を更新した(図)。

     今年2月にバブル崩壊以来30年ぶりの3万円台をつけた日経平均は、米国の長期金利が1・7%台にまで急上昇する中、上値の重い展開が続いていた。しかし、米国の強力な金融緩和の継続に加えて、バイデン新政権が繰り出す積極的な財政政策が景気を押し上げると、市場は確信。米国経済という強力なけん引役に日本経済も引き上げられる格好で、高い成長が期待されている。

     実際に主要シンクタンクの米国経済に対する見方は超強気だ。

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     2021年の米国の実質GDP(国内総生産)成長率は7・4%──。本誌が実施したアンケートに大和証券グループ本社は最も高い予想を回答した(表1)。昨年12月の3・6%から3・8ポイントの大幅上方修正である。「20年12月末の9000億ドル(約99兆円)の経済対策、および21年3月の1・9兆ドル(約209兆円)の経済対策が成立した結果」(大和証券グループ本社)からだ。

     次に高い予想をしたのは、BNPパリバ証券の6・9%。昨年12月時点から3・2ポイント上方修正した。これにバークレイズ証券と三井住友銀行の6・7%が続く。「ワクチン接種の進展が想定より早い。年央にも集団免疫を獲得する可能性がある」(BNPパリバ証券)と、米国経済の追い風になるという見立てだ。

     成長率の上昇期待が高まる一方で、気になるのが米国の長期金利の動向だ。3月中旬には、一時1・75%まで上がり、株価が急落するなど市場が一時、混乱した。成長期待やワクチン普及によって景気が過熱、インフレ期待の高まりとともに、長期金利は上昇するという見方もある。どうなるのか。

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     年末の長期金利を2・3%と最も高く予想したSMBC日興証券は「長期金利は、バイデン政権のインフラ投資によりマクロ需給がインフレギャップに転換することを前提にしているため、高めに予想」したという(表2)。

     三菱UFJ銀行の鈴木敏之シニアマーケットエコノミストは、名目金利から予想物価上昇率を引いた「実質金利がプラスになる2%超えを米連邦準備制度理事会(FRB)は容認できない」と見る。しかし、SMBC日興証券を含め6社が年末の長期金利を2%以上を予想。「2%超えてくるようだと、FRBが抑え込みにかかる」(鈴木氏)という市場の期待が、株価を押し上げ、資産効果から消費を刺激、実体経済に波及するといった好循環が予想される。

    円安の追い風

     米国の高い成長は日本には、外需となって恩恵をもたらす。さらにコロナ対応の財政と金融政策が、日本の成長率を押し上げる。

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     21年の実質成長率をJPモルガン証券は4・2%(昨年末時点は3・1%)と、最も高く予想をする(表3)。「これまで打ち出された経済対策でコロナ禍での所得への悪影響が相応に相殺されていたことに加えて、米国景気が力強く回復に向かうことが、日本の景気回復を後押しする」という。

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     1月、1ドル=102円台だった円相場は、足元で110円前後という円安も日本株には追い風。今年7月に1ドル=119円まで円安が進むとBNPパリバ証券は予想する(表4)。

    「外国人が先に動き、日本の機関投資家もその動きを見て、グロース(成長)株を減らしてバリュー株に順次、移行していく」(りそなアセットマネジメントの黒瀬氏)。まだバブル前夜だ。

    (編集部)

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