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ドコモのWi-Fi接続「ホーム5G」光回線より普及するか

    NTTドコモは「ホーム5G」のサービスを8月下旬に始める。ルーターはシャープ製
    NTTドコモは「ホーム5G」のサービスを8月下旬に始める。ルーターはシャープ製

     NTTドコモは、新サービスの「ホーム5G」を8月下旬に始める。ホーム5Gは、携帯電波を利用して室内でWi-Fiが使えるようにする機器。役割は固定の光回線に近いが、メリットは設定が簡単なことだ。ドコモはこれまで、スマートフォンやWi-Fiルーターなど持ち運びができる端末を中心に事業を展開してきたが、方針を転換した。

     このサービスは、規格の進化で通信速度が速くなったことで各国で導入が進んでおり、ドコモもこの波に乗った形だ。日本では、KDDIやソフトバンクもすでに同様のサービスを行っている。

    光回線と料金はほぼ同じ

     光回線は、申し込むと調査や工事が必要で、実際にケーブルを引くため、サービス開始までに時間がかかる。マンションなどの集合住宅では、配線の関係で特定の事業者の光回線を設置できないケースも少なくない。これに対し、携帯電波を利用するホーム5Gなら、店頭で購入して家で電源を入れるだけ。最短で当日中に利用が可能になる。

    料金は月4950円。スマホ側の回線もドコモにすると1回線ごとに1100円の割引がある
    料金は月4950円。スマホ側の回線もドコモにすると1回線ごとに1100円の割引がある

     一方のデメリットは、通信速度が光回線に比べると限定的になることだ。ただ、4Gの高速化と5Gの導入により差は埋まりつつある。ドコモがホーム5G用に採用したシャープ製のルーターは、下りの通信速度が最大毎秒4.2ギガビット。携帯電波のため、基地局からの距離や同時に利用する人の数など環境によって速度が大きく変わるが、テレビで動画を見たりパソコンをネットにつないだりするだけならこれで十分な人は多いだろう。

     料金は月4950円で、スマホ向けプラン「5Gギガホ プレミア」などと同様、データは使い放題だ。ドコモ光の定額プランの場合、マンションは月4180~4400円、戸建ては月5500~5940円と幅があるが、ホーム5Gはちょうどその中間あたりの料金。ドコモの新料金プランとセットで契約すると、家族のスマホの通信料がそれぞれ月1100円割引になる。

     KDDIやソフトバンクも、同水準の料金で提供しているが、2社のサービスの場合、専用のルーターで利用できる携帯電波の周波数に制限がある。特定の周波数に絞ることで、スマホなどが使うネットワークとの混雑を避けるためだ。これに対し、ドコモのホーム5Gは利用できる周波数がスマホと同じ。4G用の低い周波数も利用できるため、提供できるエリアは非常に広くなりそうだ。

    5G対応で通信速度が速い。5Gのエリアを住宅街に拡大していけるかが普及を左右しそう
    5G対応で通信速度が速い。5Gのエリアを住宅街に拡大していけるかが普及を左右しそう

    手ごわいサービスになりそう

     NTTグループのドコモは、光回線の販売との競合を避ける狙いもあり、携帯電波を使ったWi-Fiサービスの提供には消極的だった。しかしNTTの完全子会社になったことで、グループの中核という立ち位置が明確になり、方針を大きく転換した。井伊基之社長も2020年12月の就任直後から、固定回線を代替する「ホーム5G」のようなサービスの提供に前向きだった。

     回線の品質に定評のあるドコモが提供するだけに、競合他社にとって手ごわいサービスになりそうだ。

     一方で、ドコモといえども、5Gのエリアはまだまだ狭い。特に同社は5Gに高い周波数帯しか使っておらず、ビル内など電波が入りづらい場所もある。名前は「ホーム5G」だが、しばらくは4Gでつながることになりそうだ。エリアによっては十分な速度が出ないおそれもある。5Gのエリアをいかに住宅街で拡大できるかが今後の課題と言えそうだ。

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