経済・企業

持久力ランキング1位は南海=松田遼

体力勝負 赤字に耐える力=松田遼

1位南海 3位JR四国 5位JR北海道/20位JR東日本 21位JR西日本

 JRグループ6社と大手私鉄15社の21社を対象とし、コロナ禍が続き今後も各社が2021年3月期と同程度の赤字(純損失)の計上を余儀なくされると仮定し、各社の自己資本でその赤字を吸収できる期間がどれくらいかを検証する。具体的には、21年3月期の純損失に対する21年3月末の純資産(総資産−負債)の倍率を算出した。この倍率は、損失補填(ほてん)力を表すもので、コロナ禍で耐えられる期間(年)を表す(資本増強がないことを前提)。同倍率を便宜的に「耐性倍率」と呼ぶ

 トップは南海電鉄(143.6倍)だった(表)。これに京阪ホールディングス(HD、55.2倍)、JR四国(45.1倍)、阪急阪神HD(24.7倍)、JR北海道(21.7倍)と続く。逆に最低はJR西日本(4.0倍)で、ワースト2はJR東日本(4.4倍)となった。上位グループと下位グループでは、大きな差が生じている。(表の拡大はこちら)

 表には、自己資本比率(純資産÷総資産)も併記した。耐性倍率がトップの南海は、26.9%と、自己資本比率は高いとはいえないが、コロナ禍に対しては強い耐性を持つ。耐性倍率は、各社の純資産に対して、コロナ禍における純損失(21年3月期)が過大かどうかをも示す。

 JRグループ各社の場合は、運輸事業の割合が大きいことからコロナ禍の影響が比較的大きく、純損失が大きくなった。一方で、私鉄大手は事業構成が多角化されており、運輸事業の割合は高くないものの、ホテルや百貨店事業ではコロナ禍の影響を強く受けている。南海も多角化が行われている一方で、ホテルや百貨店事業に対する関与度が高くなく、他社に比べると軽微にとどまっている。

 JRグループ内では、耐性倍率の格差が顕著に出た。これは、各社の自己資本基盤の厚さの違いに…

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週刊エコノミスト

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