福島県産桃と長崎カステラのコラボで誕生「白桃カステラ」 全国信用金庫のネットワークで実現
福島県産の桃と長崎県の銘菓カステラのコラボレーションによる新商品「白桃カステラ」が誕生した。全国各地の信用金庫が加盟する「よい仕事おこしフェア実行委員会」のネットワークにより実現した。東京都内にある両県のアンテナショップなどで販売される。
白桃カステラは、「献上桃の郷」として知られる福島県桑折町産の桃「あかつき」を使ったジャムを生地に練り込み、しっとりと焼き上げられている。開発・製造は、1793年創業の長崎の老舗菓子舗「菓秀苑 森長(もりちょう)」が担った。
福島県産の桃は種類が豊富で、6月下旬から10月上旬まで、順に収穫期を迎える。特にあかつきは、引き締まった緻密な肉質と強い甘みが特徴で、高い人気を誇る。ただ、震災後は風評被害に悩まされ、今春は凍霜害(冬場から春先にかけ、夜間急激に起こる冷却によって発生する気象災害)で大打撃を受けた。
一方、長崎県も、新型コロナウイルス禍で観光客が激減し、銘菓のカステラを含むあらゆる産業がダメージを受けている。
よい仕事おこしフェア実行委員会は、全国の信用金庫のネットワークを生かし、震災復興やコロナ禍で収入減に陥った観光産業の支援をしている。今回の事業は、実行委員会事務局を務める城南信用金庫(東京都)の川本恭治理事長が仕掛け人となった。
9月17日に福島県のアンテナショップ・日本橋ふくしま館「MIDETTE」(中央区日本橋)で開かれた発表会では、福島市の木幡浩市長が「桃は、農家が心を込め、品質にこだわって育てている。皆様の支援を復興のエネルギーに変えて前進していきたい」などと動画でメッセージを寄せた。森長の森淳社長は「白桃の風味を出すのがとても難しく、苦労したが、最後は自信作に仕上がった」と笑顔を見せた。
城南信金の川本理事長は「信用金庫は、一つ一つは決して大きな金融機関ではないが、全国にネットワークがある。我々にできるのは『つなぐ』ということ。これからも各地をつなぎ、日本を明るく元気にしたい」と挨拶した。
白桃カステラはMIDETTEと長崎県のアンテナショップ・日本橋長崎館、森長の店頭で販売されるほか、インターネット通販でも取り扱う。5枚カットで896円(税込み)。