教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

同僚と無理に趣味を合わせるのがストレスです/98

 Q 同僚と無理に趣味を合わせるのがストレスです

 A 趣味は生きてきた世界を背景に「ハビトゥス=傾向性」により形成されていると考えてみては

 職場の同僚たちと何かと趣味が合わなくて困っています。無理に合わせているのですが、ストレスがたまる一方です。どうすればいいでしょうか。

(営業職・20代女性)

 これはよくわかる悩みです。私もあるパーティーで、みんながヨーロッパのオペラの話ばかりするのでついていけなくて、困ったことがあります。それが日常的に続くとしたら、相当なストレスでしょう。

 この問題を考えるのにぴったりなのが、フランスの思想家ピエール・ブルデューの「ハビトゥス」という有名な概念です。ブルデューに言わせると、人の趣味はこのハビトゥスによって形成されているのです。

 もともとハビトゥスとは習慣を意味するラテン語なのですが、彼はこれを「傾向性」というような意味で用いています。

 つまり私たちは、ある傾向性に動かされることによって、何かを好きになったり嫌いになったりしているというのです。それは社会的なものなので、自分の意志ではどうすることもできません。

趣味は選ばされたもの

 私たちはつい自分自身で趣味を選んでいるように思いがちですが、そうではないのです。趣味は自分が生きてきた世界によって傾向性を与えられ、ある意味で選ばされているものなのです。人によって生きてきた世界や環境は異なるので、人それぞ…

残り766文字(全文1366文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事