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教養・歴史 書評

自閉症者は極上の受け手 読む行為の再考促す一冊=ブレイディみかこ

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 先日、あるイベントで、参加者からの「社会を変えるために何が必要か」みたいな真面目な質問に対して、「元気」と答えてしまった。自分が病み上がりだったので単なる願望だったのかもしれないが、そういえば「元気」って英語で何?と調べて驚いた。英辞郎on the WEBにいちじるしい数の訳語があったからだ。「action」というのは意外だし、「animal spirits」(ほんまかいな)、「blood」「jazz」なんてのもある。

 40近くもある訳語を読みながら、『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 自閉症者と小説を読む』(ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ著、岩坂彰訳、みすず書房、4180円)を思い出した。一つの言葉に対する訳語の激烈な多さとさまざまなること(これを多様性という)は本の読み方に似ていると思ったからだ。

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