FIREの素朴な疑問Q&A=横田健一/編集部
有料記事

FIREの素朴な疑問Q&A=横田健一/編集部
Q1 FIREは運用利回り年4%で可能なの?
A 生活費の25倍の資産をためて年率4%で運用できれば、資産を減らさずに一生にわたって生活が可能だ。これをFIREの「4%ルール」という。ただし、年率4%は税引き後の利回りであることには注意が必要だ。例えば、生活費が200万円ならば25倍は5000万円だ。5000万円を税引き後利回り4%で運用すれば年200万円を獲得できる。
これはあくまでも資産を一定に保つケースだ。資産を取り崩していけば25年分の資産も必要ない。実際には資産を取り崩してFIRE生活を送るケースも相当あるだろう。また、65歳以上ならば公的年金も受給できる。
年金は加入者が拠出する保険料に加えて、基礎年金については国庫負担金も原資となる。平均受給額は、自営業者らが加入する国民年金の場合、月5・6万円、会社員らが加入する厚生年金の場合、月14・6万円(2019年度末)だ。受給額は賃金や保険料納付期間により異なるため、「ねんきん定期便」などで自身の見込み金額を把握することが大切だ。
実際にFIREした場合は、厚生年金の加入期間が短くなったりするために年金額が大きくなりづらいが、資産運用にも後述のようなリスクがあるため、バランスを取った生活設計が重要となる。
Q2 毎年4%の利回りを獲得するには?
A 年利4%といっても、年によって市場環境が変わることには気を付けなければならない。例えば、5000万円を一括投資して、毎年一律に4%利回りで運用できれば(シナリオA)、20年後の資産残高は1億955万円になる。とはいえ、毎年同率の利回りで運用できると考えるのは現実的ではない。そこで、20年後の運用残高が1億955万円になる、他の四つのシナリオを想定する(図1)。
シナリオB…運用前半は利回り4%超だったが、後半は4%以下に沈む
シナリオC…運用前半は利回り4%以下だったが、後半は4%を超える
シナリオD…運用初期と終盤は利回りが4%を超えたが、運用中期に4%以下に沈んだ
シナリオE…運用初期と終盤は利回りが4%以下だったが、運用中期に4%を超えた
では、A〜Eのシナリオで、利回り4%に当たる毎年200万円を取り崩していく場合、運用残高はどのように変化していくのだろうか(図2)。
シナリオA…当初から変わらず20年後まで5000万円…
残り3121文字(全文4121文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める