経済大国ドイツを襲うエネ価格高騰=熊谷徹
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エネルギー高騰を危惧するドイツ 「脱炭素」への世論に影響も=熊谷徹
世界的な化石燃料や電力価格の高騰をめぐり、ドイツの経済界では激しい議論が行われている。
連邦統計庁は9月30日に、「今年9月の消費者物価指数は、前年同期比で4・1%上昇した」と発表。同国の日刊経済紙『ハンデルスブラット』は同日付電子版で「物価上昇率が4%を超えたのは、28年ぶり。最大の原因は、原油やガス価格の上昇だ」と報じた。
ドイツ公共放送連盟(ARD)のサイトは10月13日、「今年8月の灯油価格は前年同期比で57%、自動車の燃料価格は27%上昇した。10月の時点で、ガスの年間消費量が2万キロワット時の標準世帯のガス支出は、去年の同時期に比べて300ユーロ(約3万9000円)増える」と報じている。
ARDは「高騰の主な原因は、去年パンデミックによりエネルギー需要が減ったのに対し、今年は世界中で需要が増大していることや、冬を前にしてドイツのガスタンクが3分の2しか充填(じゅうてん)されていないことだ。米国のLNG(液化天然ガス)輸送船は、高い代金を確保できるアジア諸国へ向かい、欧州は後回しになっている」と指摘。さらに、「緑の党の一部の議員は、『ドイツ政府は、ロシアから同国へ直接ガスを輸送する海底パイプライン・ノルドストリーム2の稼働許可申請を審査している。ロシアはドイツへのガス供給量を減らして、同国が一刻も早く稼働を許可するように、圧力をかけている』と指摘している」と報じた。
電力価格も高騰。欧州エネルギー取引所のドイツ向けスポット価格は、今年1月の1キロワット時当たり34・9ユーロから、8月には82・7ユーロ…
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週刊エコノミスト
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