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ゼロからはじめる資産形成⑧ 金融機関の窓口で「オススメの投資信託」を聞いてはいけない!「インデックス」か「アクティブ」か迷っている人へのヒント

    インデックスファンドかアクティブファンドか…
    インデックスファンドかアクティブファンドか…

     投資信託には、大きく性質の異なる2つの運用手法があります。ひとつは「消極的な運用」を意味する「パッシブ運用」、もうひとつは「積極的な運用」を意味する「アクティブ運用」です。

     パッシブ運用の代表的なファンドを「インデックスファンド」、アクティブ運用のファンドを「アクティブファンド」と呼びます。

     近年、つみたてNISAに採用されている投資信託の9割がインデックスファンドであるということもあって、インデックスファンドの人気が高まっていますが、実は投資信託の商品数はアクティブファンドの方が断然多いこと、ご存知ですか?

     総合金融情報サイトの「モーニングスター」で検索すると、現時点で販売されている投資信託の商品数の約8割をアクティブファンドが占めていることがわかります。

     近年人気があり資産残高を伸ばしているインデックスファンドと、商品数が多いアクティブファンド。今回は、それぞれの特徴を見ながら、使い分けのアイデアをご紹介していきます。

    インデックスファンドとは

     インデックスファンドの「インデックス」とは、「指数」のことです。指数とは、ある時点を基準に、その市場全体の規模や値動きの変化を見るために作られた、モノサシのようなものです。

     株価指数の代表的な物として、日本の「日経平均株価」や「TOPIX」、米国の「NYダウ」や「S&P500」などが挙げられます。このほか、先進国や新興国などを対象とした指数や、世界全体を対象とした指数もあります。株価指数の他に、国債や社債などの債券指数もあります。

     これらの指数と同じ値動きになるよう運用されるのがインデックスファンドです。

    アクティブファンドとは

     他方、積極運用を意味するアクティブファンドは、指数を上回る運用成果を目指します。

     指数を構成する銘柄を、業績の好不調関係なく全て含むインデックスファンドと異なり、アクティブファンドでは基準を満たす銘柄を厳選して投資します。どんな基準(成長力・会社の規模など)で選ぶかは、ファンドごとの運用方針で決められています。

     ここで、インデックスファンドとアクティブファンドの違いを、ファンドの特徴とコストの面から見てみましょう。

    インデックスファンドとアクティブファンドの特徴は?

     インデックスファンドは、指数の上げ下げと値動きがほぼ同じになるよう運用されるため、指数の値動きを見れば、ファンドの運用成果もおおよそ想像ができます。

     また、ファンドを構成する銘柄数も、連動する指数によってかなり多いものもあります。たとえばTOPIXの対象企業数は約2200。前述のように、インデックスファンドは指数に連動するように指数とほぼ同じ銘柄で構成されるため、TOPIXに連動するファンドを買えば2200もの銘柄に分散投資できるというわけです。

     対するアクティブファンドは、銘柄の選定や売買のタイミングがファンドによりまちまちです。日経平均株価やTOPIXなどの指数と同じ値動きにはならないため、運用成果がつかみにくいという弱点があります。

     また、テーマや業種など、投資対象を絞り込んでいるアクティブファンドでは、ファンドを構成する銘柄数がインデックスファンドより少ない傾向にあります。ただし、絞り込んだ銘柄群が、市場平均以上の運用成果をもたらす可能性も期待できます。

    インデックスファンドとアクティブファンドのコストは?

     投資信託には、購入時手数料や信託報酬などのコストがかかります。このコストについても違いがあります。

     インデックスファンドは、指数と同じ銘柄を組み入れて運用すればよいため、手間がかからない分、コストは低めです。一方、アクティブファンドは、銘柄を厳選するため、運用会社が日々調査や分析を重ねるなど手間がかかる分、コストは高くなりがちです。

    2つの運用方法、使い分けはどう考える?

     インデックスファンドとアクティブファンドの違いを踏まえたうえで、3つの視点で使い分けの方法を考えてみます。

    ① コストで使い分ける

     コストを抑えたい場合は、前述のように低コストで運用できるインデックスファンドが良いでしょう。特に投資信託を保有している間、運用成果に関わらずかかり続ける信託報酬は、低いに越したことはありません。

     多少コストが高くても、インデックスファンドより運用成績がよいならば……と考えてアクティブファンドを選ぶ人もいますが、将来の運用成果は誰にもわからないため、コストが気になるのであれば「インデックスファンド一択」となるでしょう。

    ② 運用に対する考え方で使い分ける

     どんな運用を望むかは、それまでの経験や知識によっても大きく異なります。投資経験が少ないと、運用について明確な考えを持っていないかもしれません。そういう場合は、最初はまずインデックスファンドで市場の平均的な値動きを経験してみるのが良いでしょう。

     一方で、株式や債券、為替などに興味があり、これから有望となる市場や業種のイメージが持てる場合は、イメージに近い投資方針のアクティブファンドを活用するのも良いですね。

    ③ ポートフォリオで使い分ける

     投資信託を選ぶ際、すべての資産をインデックスファンド、アクティブファンドのどちらかに投資すると決めてしまわずに、両方を組み合わせることもできます。

     たとえば、海外株式と日本株式に投資したい場合、興味はあっても詳しくはわからない海外株式については、世界の株式指数に連動するインデックスファンドを活用して、情報が得やすい日本株式については、アクティブファンドを活用するという具合です。

     他にも、運用資産の多くはインデックスファンドに投資をして、一部だけアクティブファンドを組み合わせて、インデックスファンドのみに投資する以上の運用成果をねらう、という方法もあるでしょう。

     ちなみに、公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオにも、アクティブ運用が組み入れられています。2020年3月末時点で、運用資産全体の約83%がインデックス運用、約17%がアクティブ運用です。データが公表されている2011年からの推移では、各年度のバラツキはあるものの、おおむね同様の割合です。

     現在、GPIFは株式と債券に半々の分散投資をしていますが、そのうちアクティブ運用の比率は債券で多め、株式は少なめの配分でメリハリをつけています。参考にしてみるのも良いでしょう。

    さまざまな種類のインデックスファンド、選び方のポイントは?

     インデックスファンドでは、指数ごとにファンドがあります。また、ひとつのファンドで、株式や債券など複数の資産が組み合わされているものもあります。

     インデックスファンド選びを考える際は、まず「どこ」の「何に」投資をしたいかを決めましょう。たとえば「世界」の「株式」といった具合です。そして、同じ投資対象で運用する複数のファンドがある場合、運用会社の違いによる成果の差はほぼないため、よりコストの低いファンドを選ぶようにしましょう。順調に資産残高が伸びているファンドであれば、なおよいです。

     特定の国など規模の小さい市場の指数に連動するインデックスファンドや、資産残高が少ないファンドには、注意が必要です。指数と同じ銘柄を組み入れられず、連動率が低いファンドもあります。過去の運用実績や資産残高の推移を必ずチェックするようにしましょう。

    アクティブファンド選びは難しくて、面白い

     アクティブファンドは、同じ投資先(たとえば日本株式)の同じ期間で比較をしても、テーマや投資対象の違い、運用会社の腕前により、運用成果にバラツキがあります。

     前述のモーニングスターで検索してみると、過去3年間のリターンでみた場合、対象となる約550本のアクティブファンドのうち約半数が、TOPIXに連動するインデックスファンド以上の運用成果をあげています(2021年9月30日現在)。逆に言えば半数はインデックスファンド未満だったということです。

     このようにアクティブファンド選びは、宝探しのようで面白い側面もあります。もちろん、インデックスファンドを下回るハズレを引く可能性もあるでしょう。とはいえ、自分で納得して選んだファンドなら、成績が振るわなくても受け入れられると思います。

     納得の1本を見つけるために、信頼できる情報サイトのランキングなどを活用して、気になるファンドの特長をつかみ、テーマや運用方針を絞って比較検討してみましょう。

    アクティブファンドをよりよく知るための用語解説

     それぞれのファンドの詳しい中身は、目論見書(もくろみしょ)を見るとわかります。目論見書とは、投資信託の取扱説明書のようなもので、最初の数ページに「ファンドの目的・特色」があり、運用方法や投資の基準などがわかります。記載内容を理解するため、知っておくとよい代表的な用語をご紹介します。

    金融機関を活用して商品について調べよう

     気になるファンドが見つかったら、商品の詳しい説明は、取り扱う金融機関の窓口で尋ねてみるのも一手です。より詳しい内容やわからないところを納得いくまで聞きましょう。

     ただし、銀行や証券会社の窓口では間違っても、おすすめの投資信託はどれですか?と聞いてはいけません。

     予備知識がないままおすすめを尋ねたら、売り手側の「売りたい商品」を案内される可能性があります。適切なアドバイスを受けるためには、どんな目的の資金で、どんな運用がしたいかを、しっかり定めて相談することが大切です。

     また、その場ですぐ購入せず、他の販売会社と比較検討を。同じファンドを複数の金融機関で取り扱っている場合、購入時手数料が販売会社によって異なることがあるからです。購入は十分に調べた上で決めても遅くはありません。

    (みらい女性倶楽部 冨田仁美)

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