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週刊エコノミスト Online

小学4~6年生20人が「環境に優しいTシャツ」を作ってみて感じたこと 週刊エコノミストと毎日小学生新聞が「第1回キッズ起業塾」

小学4~6年生20人が参加 ©セルフウイング
小学4~6年生20人が参加 ©セルフウイング

 子供たちに起業家精神やビジネス感覚、考える力などを養ってもらおうと、『週刊エコノミスト』と『毎日小学生新聞』は2021年12月27日、「第1回キッズ起業塾」をオンラインで開催した。全国から小学4~6年生の児童20人が参加。4グループに分かれて、「環境に良いエコTシャツ」を1日がかりで模擬的に企画・製造・販売し、起業の楽しさや商売の大変さを実感した。

 プログラムは、早期起業家教育を手掛ける「セルフウイング」が提供。スポンサーのオーセンス法律事務所が、Tシャツに入れる図柄の著作権や広告表現のルールなど法律的な資料の作成に協力した。プログラムの中では、スポンサーの丸和運輸機関のほか、マザーハウス(途上国で製造した衣料品やバッグを販売)、城南信用金庫の担当者も登場し、現場ならではの助言もした。

 午前10時、自己紹介の後、グループごとに、会社の役割、社名、全員の役職(社長、宣伝マネジャーなど)を決めた。

会社名から考案し、社長、宣伝マネジャーなど役割分担の下、商品を開発©セルフウイング
会社名から考案し、社長、宣伝マネジャーなど役割分担の下、商品を開発©セルフウイング

 その後、商品の顧客層を定め、コストを考えながら色や素材、デザインなど、皆でアイデアを出し合って商品開発を進めた。1枚当たりの価格、販売予定数、収支などを想定して、事業計画書も作成。金融機関から借り入れの“厳しい審査”を受けて、ようやく事業が認められた。宣伝ポスターの作製や商品の発表という手順も踏んだ。

 各段階では、実務の第一線で活躍する企業の社員らが小学生に講演、質疑応答コーナーもあった。例えば、丸和運輸機関からは、通信販売の物流の仕組みの解説があった。

原料調達費、銀行への支払利子も勘案して、販売価格を決定©セルフウイング
原料調達費、銀行への支払利子も勘案して、販売価格を決定©セルフウイング

 最後はオンラインで模擬販売した。土に返る素材を使ったTシャツ、絶滅危惧種の動物をデザインしたTシャツといった独創性あふれる670~940円の4種類のTシャツが完成した。

宣伝ポスターを作り、模擬販売用にプレゼンテーション©セルフウイング
宣伝ポスターを作り、模擬販売用にプレゼンテーション©セルフウイング

 参加した子供たちは1人2000円の予算を割り当てられ、好きな商品を好きなだけ購入するという仕組みで売れ行きを競った。自分のグループのTシャツは買ってはいけないルール。結果は、自分が着た後にアフリカなど外国の子供たちに寄付し、水を運んだり作業がしやすいようにはっ水機能を付けたシャツが一番売れた。4グループ中2グループが黒字、残りの2グループは売上高で制作費をまかなえず赤字になった。

 赤字の結果も学びに

 ここで終わらないのがポイントだ。収支結果を受けて、各グループで原因を分析。「もっと利益を出すにはどうすればよかったか」を討論した。その結果、赤字が出たグループからは「販売価格をもっと高く設定すればよかった」といった自己分析が発表された。

価格、販売目標は妥当だったかも事後検証©セルフウイング
価格、販売目標は妥当だったかも事後検証©セルフウイング

 参加者のうち、小学5年生の「かほ」さん(11)がもっとも印象に残ったのは事業計画書の作成だったという。「銀行への支払利息やコストも考えながら、自分たちの利益を出す計画を立てるのは難しかった。今回の講習を通して、ビジネスで利益を出すとはどういうことかを考えさせられた」と話す。

 グループ内では他に立候補者がいなかったこともあり社長役を引き受けた。社長として、グループの話し合いをまとめたり、全体へのプレゼンテーションで先陣を切って商品説明などをした。「宣伝マネージャーなどの個別役員は自分の職務の立場からビジネスを見るのに対して、社長はグループ全体をまとめることが求められる。それぞれの役割があることを実感した」と振り返る。

「かほ」さんのグループのTシャツ販売事業の収支は結局赤字に終わったが「講習の最後で『あんな付加価値をつければ良かった』『こんな手法もあった』などと対策を話し合えた点も良かった」と感想を述べた。

弁護士、運送会社 業界のプロが熱視線

 プログラムでは、スポンサーのオーセンス法律事務所・高橋麻里弁護士が「学校でもルールがあると思うけれど、それは社会に出ても同じ。物を作ったり、買ったりする時にはどんなことに注意しなくてはいけないか、トラブルにならないためにはどんなことに気を付けたらいいか、学んでほしいと思う」とアドバイスした。

 同じくスポンサーの丸和運輸機関・瀬戸遼平さんは、通信販売サイトなどで注文を受けた品物を短時間で届けるための仕組みを説明。二酸化炭素排出量削減のため、「1台のトラックになるべくたくさんの荷物を積み込んだり、段ボールなどの緩衝材を薄くて強度のあるもの・再生可能なものにしたり、といった工夫をしている」などと話した。(編集部)

オーセンス法律事務所 高橋麻理弁護士

 子どもが起業について学ぶ機会を持つことは、「将来ビジネスをしてみたい!」という気持ちを抱くきっかけになり得るのはもちろん、消費者としてサービス提供を受ける立場で遭うかもしれないトラブルを回避するためにもとても大事なことだと感じます。なのでぜひ、そのような意義深いイベントに関わらせて頂きたいと思いました。

オーセンス法律事務所 高橋麻理弁護士
オーセンス法律事務所 高橋麻理弁護士

 イベント当日は、目を輝かせて意欲的に話を聞く姿、また、自身でZoomアカウントの設定変更にチャレンジする姿などを拝見し、とても頼もしく、すがすがしい思いになりました。

 将来、ここにご参加された子どもたちの中から、世界的に活躍する起業家が誕生されることを楽しみにしています!

丸和運輸機関 瀬戸遼平さん

 参加者の皆さんの熱意が伝わる大変有意義な時間でした。小学生で「何かを生み出し事業化する」「社会との接点を作る」ということに関心を持つのは大事なことだと思います。このような取り組みを続けていくことで、大きな視点に立つ起業家やリーダーが多く生まれてくると確信しています。

丸和運輸機関 瀬戸遼平さん
丸和運輸機関 瀬戸遼平さん

「起業家教育」とはこれからの時代を生きていくために必要な力の育成と言えます。弊社としても今後、さまざまな形で支援させて頂きたいと思っています。

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