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週刊エコノミスト Online学者が斬る・視点争点

「新国富指標」で炭素ダメージを金銭換算=藤井秀道

環境負荷を考えた経済の新指標=藤井秀道

炭素ダメージを金銭換算で計測

 日本政府がこれまでの国内総生産(GDP)とは別に、二酸化炭素(CO2)排出量の増減を組み込んだ新しい経済指標「グリーンGDP」の導入に向けて検討を始めている。GDPの枠組みは国内の経済活動について詳細に把握できる一方で、環境的要素を十分に考慮できていないことから、GDPの増加に向けた取り組みが結果的に環境破壊につながる恐れがあるため、環境要素を組み込んだ新たな経済指標の開発が求められていた。

 既にGDPの計算を担当する内閣府で新指標の構築方法、特にCO2排出量を金銭換算しGDPに組み込む方法について調査が進められている。新指標はCO2排出量の増大(削減)はグリーンGDPを減少(増加)させることから、明示的に環境的要素を組み込んだ形で経済活動を評価することが可能となる。

 一方で、世界で環境要素を含めた持続可能性の視点から豊かさを評価するための指標開発が進められてきた。その代表的な指標が「新国富指標(IWI:Inclusive Wealth Index)」だ。新国富指標はノーベル経済学賞の受賞者である故ケネス・アロー教授や、ブループラネット賞受賞者のパーサ・ダスグプタ教授を含めた世界的な経済学者によって、持続可能性を計測する指標として開発された。

鍵は「自然資本」

 新国富指標の優れた点は、経済学の理論に整合的な枠組みで構築されている点にある。具体的には、GDPや付加価値など一定期間における経済活動の成果(フロー)ではなく、経済活動をするための源泉(ストック)を重視して持続可能性を評価している点だ。

 持続可能性を評価する際には、私たちが生存する現代だけではなく、私たちの子孫が生存する遠い将来での生活も考慮する必要があるが、一定期間の成果指標であるフローは将来世代の暮らしを評価することはできない。しかし、ストックを計測し、その量が減少しないように経済活動をすることで、遠い将来でも持続的に豊かさを維持することが可能となる。いわば新しい“北極星”なのだ。

 新国富指標について説明したい(図)。イメージしやすいように企業活動を例として、GDPを企業の付加価値に置き換えて新国富指標を紹介する。企業の付加価値は一定期間の生産活動の成果を表すが、その源泉は仕事に従事している従業員(人的資本)や導入済みの設備機器(人工資本)だ。また、事業活動で農作物や鉱物を活用する場合、自然の豊かさや資源埋蔵量(自然資本)が重要な源泉となる。言い換えれば、企業の付加価値はこれら源泉を活用することで得られた運用益と考えられる。新国富指標の考えは、持続可能性を維持するためには運用益(フロー)を生み出すための資本(ストック)が減少しないことが重要としている。

 新国富指標は持続可能性を三つのストックで豊かさを計測する。一つ目は、製造された資…

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