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携帯「ローミング」は緊急通報ができるだけでいいのか=石川温
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KDDI障害の余波 厄介な運用のハードル=石川温
7月2日から発生したKDDI(au)の大規模通信障害を契機に総務省を中心に検討が始まったのが、携帯電話会社(キャリア)間の「ローミング」だ。
ローミングとは自分が契約しているキャリアとは別のキャリアのネットワークに接続して利用できるというものだ。今回、KDDIの通信障害によって110番や119番などの緊急通報がかけられないというトラブルが発生した。KDDIのネットワークが使えなくてもNTTドコモやソフトバンクといった他社にローミングとして接続できれば、緊急通報をかけることができる。金子恭之総務相は「ローミングに関する有識者会議を、本年9月をめどに立ち上げる」として、本格的な導入検討に入った。
実はローミングに関しては2011年の東日本大震災直後に導入が検討されたことがあった。しかし、当時は第3世代携帯電話が中心で、NTTドコモとKDDIで通信規格が異なり、端末の仕様も違っていた。そのため、両社から「ローミングを導入するには技術的に困難」という反発があり見送られた経緯がある。
呼び返しは必要
現在では第4世代や第5世代のスマートフォンが中心で、大手4社は同じ通信規格を採用。さらに4社でiPhone(アイフォーン)など同じスマートフォンを扱っていることもあり、導入に向けた技術的ハードルは低くなっている。
ただし、厄介なのが運用面のハードルだ。緊急通報を運用する上で「呼び返しできないといけない」という規則が存在する。119番をかけてきた人との通話が切れてしまった際、緊急通報を受け取った機関から折り返して電話をかけられるようにしなくてはならないのだ。ローミング時にこの「呼び返し」が確保できるかどうかが検討材料として上がっている。
キャリ…
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週刊エコノミスト
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