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高齢化が進む中国で腫瘍治療の最大手に急成長した海吉亜医療=富岡浩司

中国の腫瘍発症後5年生存率は欧米に比べて低い(Bloomberg)
中国の腫瘍発症後5年生存率は欧米に比べて低い(Bloomberg)

海吉亜医療(Hygeia Healthcare) 放射線治療をメインに病院運営も=富岡浩司/44

 海吉亜医療(ハイジェイア・ヘルスケア)は腫瘍の放射線治療を行う中国の医療サービス企業。放射線治療の売上高および放射線治療設備の保有規模では、国内最大規模を誇るとしている(2019年時点同社資料)。

 主要事業は腫瘍の放射線治療を中心とした病院の経営や管理で、全国7省9都市に12カ所の病院を運営している。また、提携する病院や医療施設に同社の放射線治療サービスを提供するビジネスも展開し、21年末時点で12省、22件の病院と契約している。そのほか、自社開発の定位放射線治療設備を開発し、病院や治療センター向けに販売、リースも行う。

 同社は経営する傘下の病院の規模を拡大したり、医療センターの買収、提携先病院を増やしたりしながら成長を続け、20年に香港証券取引所に上場。21年には海外投資家が参考にする中国株株価指数のFTSEラッセル指数とMSCIチャイナ指数の構成銘柄に採用された。

5年生存率は4割

 放射線治療とは、放射線を患部に照射して腫瘍(がんなど)細胞内の遺伝子にダメージを与える治療法だ。日本の厚生労働省によると、米国ではがん患者の66%、ドイツで60%、英国で56%、日本は25%が放射線治療を受けているが、中国では普及率がまだ低く、19年時点で11.5%だ。一方で、中国の腫瘍患者数は増加している。

 米大手コンサルティング会社のフロスト・アンド・サリバンによると、15年は400万人だった患者数が19年には440万人となり、25年には510万人に達するとみられている。背景は急激な高齢化だ。中国の60歳以上の人口が全体に占める割合は10年には13.3%であったが、24年には20%となり、「中度高齢化社会」に突入するといわれる。高齢になればそれだけ腫瘍発生確率が高まる。また、低所得者層の収入増や地方医療システムの整備も、これまで見過ごされてきた腫瘍発見率を高める。

 中国では大都市を除けば、放射線治療を行えるだけの設備や人材、施設も足りない。中国の腫瘍発症後5年生存率は40.5%と、米国の66.9%に比べてかなり低い。医療体制が不十分なことが原因だ。それだけに、放射線治療ビジネスは急速に成長し、同社は腫瘍治療の遅れた地方中堅都市をターゲットとして、事業拡大を図る方針を取っている。15年の中国の放射線治療の市場規模234億元(約4600億円)が、20年には452億元、25年には809億元(5年平均成長率12.4%)に膨らむとみられている。

増床、技術導入に注力

 同社の成長ペースも非常に速い。売上高は17年の5.96億元から21年には23.15億元と約3.9倍に膨らんだ。中でも、21年に売上高全体の92.9%を占める病院事業は4.6億元から21.5億元となった。同社は放射線治療をメイン…

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週刊エコノミスト

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