無申告のリベートも経費に計上されればバレないわけがない 松嶋洋
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従業員が不正に収受したリベートが税務署にバレると、重加算税も課されるとんでもない事態に陥る。>>特集「狭まる包囲網 税務調査」はこちら
端緒は税務署の「反面調査」
中堅ゼネコンの銭高組が今年7月、下請け業者から現場所長に支払われたリベート約4500万円などについて、大阪国税局から申告漏れを指摘されたと報じられた。重加算税を含めて追徴税額は1億円超にのぼるとされる。取引先からリベートを受け取っても会社や税務署にはバレない、と思う従業員が多いからか、こうしたリベートの申告漏れは税務調査でしばしば問題になる。
リベートを巡っては、東京国税局が昨年12月、取引業者から受け取った約1億1800万円の所得を申告せず、所得税約5200万円を脱税したとして、日本大学元理事長を所得税法違反(過少申告)で東京地検に刑事告発する事件も起きている(その後、懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円の有罪が確定)。
銀行調査もきっかけに
国税当局がリベートの申告漏れを把握するのは、いくつかのパターンがある。
リベートの申告漏れを把握するきっかけとして最も多いのが「反面調査」だ。反面調査とは、税務調査対象者の取引先を調査することを指す。実態が分からないような経費の支出があるような場合、その支払先に反面調査をして税務署は事実関係を確認する。銭高組の事例では、下請け業者が実際に存在しない会社に架空の外注費を計上していたことが発覚の契機になったと報じられている。
リベートを渡す企業の側としては、本来は表立って経費として計上しにくいお金だが、それを経費にしなければ自社の利益が膨らんで、法人税負担が大きくなってしまう。そのため、下請け業者は架空外注費として経費にしていたと思われる。国税当局がこの下請け業者を税務調査した際、怪しい外注先があったため、反面調査をした結果、架空だったことが分かった可能性がある。
その後、架空の外注先に支払ったとされる現金の使途を国税当局が調査すると、銭高組の現場所長にたどり着いたというのが全容と考えられる。銭高組のリベートについては、数回に分けて現金で渡されていた模様で、下請け業者も…
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週刊エコノミスト
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