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教養・歴史 ロングインタビュー情熱人

小遣い月2万1000円のやりくり漫画が人気――吉本浩二さん

「小遣いが月5万円になっても使いきれないんじゃないかな」 撮影=蘆田剛
「小遣いが月5万円になっても使いきれないんじゃないかな」 撮影=蘆田剛

漫画家 吉本浩二/59

 ギャグ漫画でもなければ劇画でもない。エッセーのようにささやかな日常を漫画として描き、多くの読者の共感を誘っている。コンビニなどで駄菓子を買って食べるのが楽しみという異色漫画家の「金欠ライフ」とは──。

(聞き手=大宮知信・ジャーナリスト)>>これまでの「ロングインタビュー 情熱人」はこちら

── 週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)で連載中の『定額制夫の「こづかい万歳」』で、2022年4月に単行本の第4巻目が出ましたね。毎月2万1000円の小遣いのやりくりが面白く紹介されています。

吉本 結婚した当初は3万円でしたが、今5歳になる2人目の子どもができた時、これからいろいろ生活費がかかってくるから3割減額しようかということで、今の2万1000円になりました。ちょっと足りなくなる時もありますが、何かいいことがあった時などには5000円なり1万円の“臨時ボーナス”が出ます。定額制の小遣いになって8~9年になりますが、もう慣れてきましたね。

「子どもが独立するまで小遣い制を続けます」

── 1日当たりだと700円です。かなり少ないようにも思いますが、奥さんと値上げ交渉はしないんですか。

吉本 その額でやりくりしています。サラリーマンと違うのは、僕は家の中で仕事をしているので、基本的にランチ代はかかりません。お昼は家で食べるので、その額でもやっていけるんです。漫画家は不安定な仕事ですから。小さな子どもが2人いると、どうしても将来の不安はありますよね。上の子もまだ8歳なので、(子どもが独立するまで)あと15年くらいは(こうした生活を続けることを)考えておかないと。

── 漫画には「金欠ライフ」というサブタイトルが付いています。なかなか給料が上がらず、少ない小遣いを嘆くサラリーマンにとっても参考になるのではないでしょうか。

吉本 30~40代のサラリーマンの人たちによく読まれているようです。僕と同じような立場で、みんなで励まし合っていきましょうという感じの人たちでしょうか。意外なところでは、株とか投資をやっている人たちに読んでもらっているようなんです。僕自身は投資にはまったく疎いので、なぜなのかは分かりませんが、決められた資金で運用することが、限られた小遣いで何を買うのかと似ているのかなと思います。

 それに、子どもの読者もけっこういるみたいなんですよ。

── それは意外ですね。

吉本 たぶん、小遣いをもらって使う自分と同じ気持ちになっているんでしょうね。前にテレビに出演した時、漫画で描いている僕と実際の僕の見た目が違うと、子どもがショックを受けているという感想がありました。実際の僕は意外におじさんだったと、ちょっとがっかりしているみたいで、子どもはこの漫画を友達が登場しているような感覚で読んでいるんじゃないかと思います。

「お菓子だったら何でも好き」

 19年10月から『モーニング』で月1回の連載が始まった『定額制夫の「こづかい万歳」』。連載開始時に45歳だった主人公の吉本さん自身が、スーパーで売られる139円や105円といったお菓子を前に、小遣いの残額を計算しながら逡巡(しゅんじゅん)したりする姿をコミカルに描く。多くの人が時に「あるある」と共感し、くすりと笑い、そして切なさも覚える。肩肘張らずにエッセーのように読める漫画だ。

── 駄菓子を買って食べるのが好きということですが、好みは何ですか。

吉本 お菓子だったら何でも好きです。ポテトチップスとかチーズあられ、九州の駄菓子の黒棒もいいですね。チーズあられは100円ちょっとで売っています。それを夜中執筆の合間に晩酌みたいにしてちょっと食べようと。お酒が飲めたらお酒を飲みに行くと思いますが、僕は晩酌しないので。血糖値は高めだと思います。妻からあまり食べない方がいいよと言われているんですけれど。

── 連載のきっ…

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