インタビュー「含み損でも高い健全性維持」板橋朋亮・信金中央金庫財務企画部長(編集部)
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信用金庫からの多額の預金を運用する中央金融機関の信金中央金庫。世界的な金利上昇など激変する金融環境にどう臨もうとしているのか。
(聞き手=桐山友一/荒木涼子・編集部)
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── 各信用金庫からの預金について足元の動向は?
■基本的には増加基調だ。各信金の規模自体が年々大きくなっている。新型コロナウイルス禍を受けた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)や各種の補助金、助成金の給付も大規模に行われた結果、信金全体の預金は2020年度には前年度末比で7.1%増加し155兆5959億円となった。
日本の産業構造はすでに成長期と異なり、企業部門が資金余剰の状況。信金は地域の中小零細企業にきめ細かに融資をしているが、信金業界全体の預貸率は50%前後で推移する。信金全体の預金量が増えると、必然的に信金中金向けの預金量も増加する。コロナ禍以降その傾向が加速し、22年9月末の信金からの預金は約36兆円と3月末に比べて2兆7279億円増えている。
── 機関投資家としての運用の役割も大きくなっているのでは?
■日銀の低金利政策の中、資金運用を貸し出しに次ぐ収益の柱に位置づけている信金が多く、信金中金の長年の運用ノウハウを生かした金融商品の提供や情報提供が求められている。さらに、日銀のマイナス金利導入(16年)以降、金融機関は運用難と資金余剰の傾向が強まったが、信金からの預金では安定した利回りを維持しており、各信金は(金額の)制限なく預け入れが可能になっている。
── 預金の運用状況は?
■日銀のマイナス金利導入後、低金利のために円資金運用で利ざやが確保できない状況が長期化し、海外のリスク資産や(未公開株式など)オルタナティブ(代替)資産にも一定の資金を振り向ける分散投資が進展し、海外資産を源泉とした収益の割合が高まっている。ただし、中央機関としての健全性維持が前提になるの…
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週刊エコノミスト
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