大卒1000万人超時代を迎え、若年層の失業率が高止まり 真家陽一
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「内外の挑戦に効果的に対応し、国民経済は圧力に耐えて発展を続けた」。国家統計局の康義局長は1月17日の記者会見でこう強調した。同局によれば、2022年の中国の実質GDP(国内総生産)成長率は、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受け、前年比3.0%増にとどまり、政府目標の5.5%増前後は未達に終わる結果となった。他方、康局長はいわゆる「ゼロコロナ政策」の転換に伴う経済活動の再開により、「中国経済は間違いなく好転する」との見通しを示した。
国際通貨基金(IMF)は1月30日、ゼロコロナ政策の転換に伴う国境の再開放で当初予想よりも速い回復に道筋がついたことから、23年の中国の実質GDP成長率の予測を5.2%増と、22年10月時点から0.8ポイント上方修正した。ただし、IMFは下振れリスクとして、健康衛生の状況が深刻化した場合は、回復が抑制されることもあり得ると指摘した。
回復の兆しを見せる中国経済だが、当面の課題は雇用問題だ。都市部の失業率は、感染拡大に伴い、上海市で大規模なロックダウンが実施された22年4月に6.1%に上昇。ロックダウン解除などで12月には5.5%に低下した。
他方、大きな社会問題となっているのが大学生を中心とする若年層の雇用だ。16~24歳に限ると、22年7月に19.9%とほぼ2割に達した失業率は、12月現在でも16.7%と高止まりの状況にある。
22年の大学卒業生は1076万人と、初めて1000万人を超え、過去最高となることが従前から見込まれていたことから、中国政府はその雇用確保に努めてきた。例えば、大学卒業生を採用した企業に対し、1人当たり最高1500元(約2万8500円、1元=約19円)の補助金を支給する政策が導入されたことで、52万社の企業が27億…
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週刊エコノミスト
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