米ワークデイは企業のDXを支える財務・人事システムで急成長 清水憲人
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Workday クラウド化追い風もAIがカギ/68
ワークデイは企業向けにクラウドERP(統合基幹業務システム)アプリケーションを提供する米国企業。ERPとは「エンタープライズ・リソース・プランニング」の略である。こう書くと何だか難しそうだが、要するに会計や人事など、ビジネスを行う上で重要なデータをきちんと管理して、事業運営に役立てていこうという目的で用いられるツールを提供する会社である。
ERPという概念が世間一般の注目を集め始めたのは1990年代だが、世界最初のERPはドイツのSAPが73年にリリースした会計システム「R/1」だといわれている。そうだとすればその歴史は50年にも及ぶ。
そのERPアプリケーションの分野にも今、クラウド化の波が押し寄せている。従来は、サービスを利用する企業が保有するコンピューター上に個別にシステムを構築する、いわゆる「オンプレミス」型が主流であったが、最近は、クラウド上に用意されたERPを、サービスとして利用する「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」型が増えてきている。
インターネット回線の高速化とクラウドサービスの普及を受け、従来であれば多額の初期投資を必要としていたERPアプリケーションの導入が、初期投資なしのランニングコストのみで気軽に導入できるようになってきているのである。また新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業がリモートワークを導入したことも、サービスの販売にとっては追い風となっている。クラウドERP市場は今後当面の間、年率平均約15%程度で拡大すると予想されている。
10年で50倍超の増収
このように注目を集めるクラウドERPの分野において、SAPや米オラクルなどの巨大IT企業とともに、リーディング企業の一つと位置づけられているのがワークデイなのである。
ワークデイは、2005年の創業以来順調に業績を拡大してきている。売上高は毎年2ケタの成長率を記録しており、22年度までの10年間で50倍以上になった。今年2月中旬時点で23年1月期の通期業績は未発表だが、第3四半期までの9カ月間(22年2~10月)業績では、前年同期比21%の増収となっている。ワークデイのウェブサイトでは、米ネットフリックスやIBMなどが導入企業として紹介されている。まだ黒字化していないが、株式市場ではその成長性が評価され、過去のピー…
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週刊エコノミスト
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