インタビュー「新横浜線開通でさらなる人流誘発と関西直結に期待」福田誠一・東急電鉄社長
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東急にとって新横浜駅に直結する新横浜線の開通は、鉄道需要の増大が期待される。巨大な相互直通ネットワークの完成後の戦略を聞いた。(聞き手=村田晋一郎・編集部)
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── 3月18日に新横浜駅から日吉駅までの新横浜線が開通する。
■新横浜線の効果は大きく三つある。まず相鉄線が西谷駅から新横浜駅までの相鉄新横浜線も開業するため、相鉄線と東急東横線・目黒線がつながり、それぞれの接続先まで含めると、7社局14路線、総延長距離250キロメートルの相互直通ネットワークが完成する。これにより、大きな人の動きが誘発されることを期待している。
次に新横浜駅は新幹線を介した関西・中京圏への玄関口であり、ここに直結できる期待は大きい。また、駅周辺には既にオフィス需要もある他、日産スタジアムや横浜アリーナがあり、エンターテインメントの集客も期待できる。
そして三つめは新横浜線内に新綱島駅など新しい駅ができること。これにより、地域の再開発が誘発され、まちづくりが進展することを期待している。
── 新型コロナウイルス禍の3年間を振り返ると、拠点駅のある渋谷はIT企業が多く、沿線住民はテレワークを導入した企業に勤める人が多い印象を受ける。
■沿線の特徴として、そういうお客様が多いと推定している。2021年3月期はコロナ前に比べて売り上げが30%減った。それから徐々に回復してきて、23年3月期はコロナ前の15%減を見込んでいる。特に通勤定期は30%減まで落ちて以後、あまり変わっていない。週2~3日の出勤になった人が、定期を買わずに定期外で利用するようになっていると思う。
── 定期が戻らない状況で、売り上げをどう増やしていくか。
■まさに新横浜線開通に期待しているが、一方で鉄道利用を増やす仕組みを考えている。例えば、大井町線で有料座席指定サービス「Qシート」の車両を走らせているが、これを東横線にも導入する。
また、クレジットカードやQRコードで改札機をタッチして乗車できる仕組みを整えていて、実験的に開始しようと思っている。
── 運賃改定も行う。
■需要が戻りきらないという予測をする中で…
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週刊エコノミスト
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