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2023年大学入試:速報第7弾 10年で伸びた学校・東西ベスト15 大宮開成、洗足学園、横浜翠嵐、市立西宮、西宮東、須磨学園…
理系注力と行政施策が奏功
難関大の合格実績を10年前と比較すると、数百人単位で伸びている学校がある。そうした学校は、生徒の頑張りを支える仕組みを持っていることが一般的。伸びている学校で何が起きているのか、紹介しよう。
国公立大と私立大ともに一般選抜の倍率が下がり続けている。2023年度入試(23年4月入学)も例外ではなく、難関大入試においても国公立大と私立大ともに大きな波乱なく終わった。もちろん倍率が落ち着いていても、優秀な受験生が集まってハイレベルな入試になるのが難関大だ。23年度入試で結果を出し、10年前と比較して難関大合格者が大きく伸びている学校を「この10年で伸びた学校」で見ていこう。
東日本のトップは、13年度と比較して732人増えた大宮開成だ。23年度の中央大や法政大、立教大の合格者数ランキングでトップなど難関私立大に強く、旧帝大も10年前より19人増えた。
合格者が2番目に増えているのは、女子校の洗足学園。旧帝大が20人増で早慶上智が189人増など、難関大全体で442人増えている。安田教育研究所代表の安田理氏は言う。
「洗足学園の図書館の雑誌棚は、サイエンス系で埋め尽くされており、理系に進学することによる将来の広がりを、メッセージとして伝えています。元々、英語教育に定評がある同校生徒の理系への興味・関心の高まりから、東大の理科類が10人など、難関大理系学部の合格者が増えています」
女子校では頌栄女子学院が慶應義塾大の倍増などにより299人増。早稲田大は慶應義塾大より募集人員が多いため、各校の早慶の合格者数を比較すると早稲田大が多くなりがちだが、頌栄女子学院は慶應義塾大が上回る。ちなみに同校は、23年度の慶應義塾大の合格者数ランキングにおいて、現役のみの集計で1位だ。
「東京都港区にある同校は、同じ区内の慶應の三田キャンパスに近く、親近感を抱く生徒が増えているのでしょう」(塾関係者)
女子校から共学化して415人増となったのは広尾学園。07年に共学化し、医学部・理系学部を目指す「医進・サイエンスコース」などを設置。旧帝大が20人増など、難関大合格実績を着実に伸ばしている。
公立校では、神奈川の学力向上進学重点校に指定されている横浜翠嵐と、千葉県の進学指導重点校に指定されている船橋・県立、東京の進学指導重点校に指定されている青山といったトップ校が伸びている。さらに都立校では、進学指導重点校に次ぐ進学指導特別推進校に小山台が指定され、その次の進学指導推進校の北園や三田などとともに結果を出している。安田氏は言う。
「指定校は都教委に合格実績を報告する義務があり、生徒の指導に力が入る。教員の意識の高さが、合格者増の背景にあります」
西日本の難関大合格者が増えた学校を見ていこう。最も増えたのは西宮・市立で、表中の国公立大合計が70人増など、全体で494人増えている。兵庫県全域から入学可能で、自然科学教育に力を入れる「グローバル・サイエンス科」が合格実績アップの原動力。2番目に多いのは475人増の西宮東、4番目は441人増の尼崎稲園。これらの3校は、地元の関西学院大の合格者が大幅に増えたことに加え、もう一つ共通点がある。
「兵庫県の5通学区のうち、この3校が属する第2学区に、教育熱心な家庭が多い西宮や尼崎といった地域が入っていることが伸びの一因」(塾関係者)
豊中、桃山、四條畷、堀川、向陽、大手前の6校は、大学や研究機関と連携し、ハイレベルな理数教育を進める文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)。この指定校が難関大合格者を増やしていると、安田氏は言う。
「大学や研究機関の最先端の研究に触れることで学問に対する視野が広がり、高いモチベーションが生まれる。詰め込み教育で合格実績を伸ばしている学校もあるが、それでは入学後に伸びません。SSHには、大学入試の先を見据えて自ら勉強に向かう生徒が多く、難関大入試にも強いのでしょう」
また、桃山と堀川は京都府全域から入学可能な専門学科を持ち、大阪の茨木と四條畷、大手前はグローバルリーダーズハイスクールの指定校。行政の進学実績向上に向けた取り組みが、難関大合格者増に寄与する側面もある。私立校では須磨学園、桃山学院、常翔学園、雲雀丘学園といった一貫校が難関大合格者を増やしている。