米雇用市場で追い詰められる若年層と黒人・ヒスパニック系 岩田太郎
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米国の非農業部門雇用者数は8月に前月比14万2000人増と、市場予想の16万5000人増を下回ったが、失業率は4.3%から4.2%と小幅改善。強弱が入り交じる中、若年層や黒人・ヒスパニック系などの雇用が悪化。11月5日の大統領選挙への影響が議論されている。
イエレン米財務長官は9月7日に、「確かに雇用市場はいくらか減速しているが、まだ極めて健全だ。8月の雇用統計でそれが確認できた」と言明した。
しかし、雇用市場を分析する米バーニンググラス研究所のガイ・バーガー経済調査部長は9月6日付の米『ワシントン・ポスト』紙で、「現在仕事がある人たちにとっては基本的に状況が良いが、新たに仕事を探している人々にとっては大変厳しい市場となっている」との見立てを示した。
同記事は、若年層や黒人、ヒスパニック系の求職者が雇用市場の軟化の影響を最も強く受けていると指摘し、ニューヨーク州北西部ナイアガラ郡のノーストナワンダ在住で、建設専門学校を卒業したばかりの22歳の青年ダミアン・ニチャリコ氏のインタビューを掲載した。
ニチャリコ氏は、「少なくとも50の建築企業やスーパーマーケット、銀行の求人に応募したが、返事すらない。現在はフードデリバリーをしてしのいでいるが、求人応募に誰も興味を示してくれない」と苦境を語った。
「応募しても返事がない」
7月の16~24歳の失業率は9.8%に達したと、米労働統計局が発表している。
雇用が厳しくなっているのは高校や専門学校の卒業生のみではない。米『ニューヨーク・タイムズ』紙は9月6日付の分析記事で、「22~27歳の最近の大卒者の失業率や不完全雇用率は2023年に微増。…
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週刊エコノミスト
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