《今週のポイント》日銀短観9月調査(10月1日)上野剛志
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価格引き上げの勢いは続くか
10月1日に公表される日銀短観9月調査では、注目度の高い大企業製造業で景況感の停滞が示されそうだ。世界的な半導体需要の回復や価格転嫁の進展が一定の支えになるものの、中国経済の減速などを背景とする輸出の低迷や急激な為替変動が下押し要因となった。自動車領域も認証不正問題の影響が残り、全体をけん引するには至らないだろう。
景況感の動きが限定的にとどまると見込まれるなか、今回の短観で特に注目されるのは「販売価格判断DI」の動向だ。同DIは物価・賃金の動きに大きな影響を及ぼす企業の価格設定スタンスを表す。前回以降、急速に円安の修正が進んだことで、輸入物価の上昇圧力は減退しつつある。そうしたなかでも、企業が賃上げ原資の確保を目指して価格引き上げの勢いを維持する意向かを見る必要がある。とりわけ、価格転嫁が遅れ、賃上げ余力…
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週刊エコノミスト
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