『宿命の子　安倍晋三政権クロニクル（上・下）』　船橋洋一著　文藝春秋　上2475円、下2585円

　第1次政権の早期退陣という挫折から立ち直って首相に返り咲いた安倍晋三氏が、数々の難題とどのように対峙(たいじ)し、乗り越えようとしたのかを著名ジャーナリストが事細かに再現してみせた。就任直後に靖国神社参拝を試みたが側近らの猛反対で思いとどまったり、1期目のトランプ米大統領の懐に飛び込んで信頼を勝ち得たり、覇権主義を強める中国に対抗したりと、知られざるスリリングな政治の裏側が明かされる。驚異の取材力に脱帽あるのみ。（W）

週刊エコノミスト2024年12月31日・2025年1月7日合併号掲載

『宿命の子　安倍晋三政権クロニクル（上・下）』　船橋洋一著　文藝春秋　上2475円、下2585円