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ここでも「問題は日本」=池谷裕二

 発症してからでは遅い。健康なうちに先手を打つべし──。予防医学がうたわれる近年だが、いまだに体調の異変に気づいてから病院に足を運ぶ人が多い。

 現存する中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』に収録された「素問・四気調神大論」には「聖人不治已病治未病」(訳:聖人は既病を治すのではなく未病を治す)と記され、「未病」という概念が提唱されている。

 未病のブームは臨床だけではない。基礎研究界でも病気の研究から「健康」の研究にかじを切っている。これまでは疾患を解明することで治療に役立てようというアプローチが主流だった。しかし改めて考えてみれば、患者の数より健常人のほうが圧倒的に多い。健康について理解が進んでいないということは、人間という生命体の動作原理が解明されていないに等しい。

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