週刊エコノミスト Online闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影=武市公孝
撮影=武市公孝

 ソーシャルメディアやモバイル機器は社会変容をもたらした。ここではあえてそのあしき影響に着目する。

 まず従来型マスメディアが弱体化した影響は無視できない。いまや多くの人がデジタルメディアからニュースを得る。インターネットは地域性が希薄なためローカルニュースよりもグローバルニュースに力点が置かれる。地方紙は減り、地元に密着した記者も減り、住民が地元の情報を得られなくなる「ニュース砂漠」が、米国では社会問題化している。人々もまた身近で起こるニュースに無頓着になっている。

 また、地域の垣根がないデジタルメディアでは、無数のニュース供給者が競合する。競争原理から魅力あるコンテンツが増えれば歓迎だが、実際には好奇心をそそるだけの悪質な誇張文句や虚偽情報も発生する。結果としてデジタルメディアへの不信感が募る。もともとデジタル機器に対しては得手不得手があり、情報格差を生みやすい土壌があるが、ここにデジタル嫌悪が加われば、情報格差はさらに拡大する。

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