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外国企業の対米投資新規則 規制対象曖昧にする戦略=川上直

重要技術防衛の必死(インテルの画像認証)(Bloomberg)
重要技術防衛の必死(インテルの画像認証)(Bloomberg)

 筆者が赴任後、最初に当欄で書いたテーマが、2018年の対米外国投資委員会(CFIUS)権限強化法の成立であった。以来、動向を追いかけてきたが、20年1月、CFIUSの新規則が発表され、2月13日に施行された。

 トランプ政権は、国家安全保障上の懸念から、外国企業による対米投資への審査を厳格化するためCFIUSの権限強化に動いた。CFIUSの審査権限を拡充し、従来の外国企業による支配を伴う米国企業への投資だけでなく、支配を目的とせずとも安全保障上の脅威となりうるものを審査対象としたのだ。重要技術、重要インフラ、機微に触れる個人情報に関連する企業への投資と特定の不動産取引が新たに対象となった。

 個人情報の収集や保有に関わる企業への投資監視強化は現代の脅威を表したものだろう。小売業界などは米国政府関係者や軍関係者も含めて大量の個人情報を保有しているだろうし、SNS(交流サイト)関連企業なども同様だ。個人の特定が可能な大量のデータが流出することは安全保障上大きなリスクであるし、サイバー攻撃の脅威にも備えなければならない。

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