《地銀&メガ》トップ“独走”許した取締役会は社外が7割だった=佐々木城夛
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山口フィナンシャルグループ
経営と執行の分離や社外取締役の増員が地銀でも進むが、トップの独走を許す温床ともなりうる。
トップ解任騒動の背景にいびつな取締役会の構成=佐々木城夛
山口銀行(山口県)など3行を傘下とする山口フィナンシャルグループ(FG)で昨年、前代未聞のトップの解任騒動が巻き起こった。連結総資産で12兆円超と地銀グループでも有数の規模だが、当時のトップが取締役会に諮ることなく新銀行の設立構想を進めていた。問題が起きた背景を探ると、山口FGや子銀行の役員構成に偏りがあり、役員間の意思疎通に支障を来した可能性が見えてきた。
山口FGが昨年10月に公表した調査報告書によれば、問題発覚の端緒となったのは昨年5月に取締役会に送られた告発書だった。当時の吉村猛会長兼グループCEO(最高経営責任者)は昨年3月、消費者金融大手アイフルと消費者ローン専門の新銀行を設立することに口頭で合意したものの、取締役会には諮っていなかった。吉村氏は昨年6月の取締役会で会長兼グループCEOを解任され、昨年12月に取締役も辞任した。
吉村氏はトップとなってから、地域商社や農業生産法人を設立するなど、他行に先駆けてさまざまな事業に取り組んできた。2019年に設立した経営者など多様な人材を地域の企業に紹介する会社「YMキャリア」もその一つで、山口県内の信用金庫も巻き込んで連携モデルを構築し、金融庁からも「地方創生に資する金融機関の特徴的な取り組み事例」として取り上げられていた。
吉村氏は新銀行構想について、昨年4月の取締役会で合意に言及はしなかったものの、構想自体は説明していた。調査報告書によれば、吉村氏…
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週刊エコノミスト
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